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-2009年9月

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紅葉の山でキジバト・ヒヨドリ考

9月下旬、2000m近くまで標高を上げました。
車をとばしてずいぶん地球温暖化に寄与してしまったせいか、半袖でもいいくらいの気温です。日射しの強さも、まだ9月のものでした。

トリカブトナナカマド

でも、山の上では色彩豊かな秋の風景が広がっていました。トリカブトは花をつけたまま葉を黄色く染め、ナナカマドはその名に反して、空を背景に赤く燃えていました。

紅葉黄葉

赤と黄色が針葉樹の緑と織りなす見事な対比に、口をあんぐり開けて見入るほかはありませんでした。世の中の雑事を忘れ、下界に比べて数段進んだ季節の中を歩きます。風はあくまでも爽やかですが、汗が額や背中ににじみます。

アカモノかな紅葉黄葉

なぜかメボソムシクイが、あちこちでまだジュリジュリと囀っていました。冬は雪で閉ざされる場所なので、ホオジロのような縄張り確保のための秋の歌でもなさそうです。大体メボソムシクイって夏鳥ですし。調べてみましたがわかりません。ウグイスは地鳴きでした。

紅葉黄葉

目の前をキジバトが飛んでいきました。
アルプスの稜線でもキジバトを見ることがあります。里で見るキジバトとは、あまりにも違う風景の中で暮らしていることに、うまく説明できない不思議さを感じます。

ゴゼンタチバナ紅葉黄葉

ヒヨドリの声も聞きました。彼らの鳴き声は里の秋を感じさせます。
ヒヨドリって、以前は秋になると山を下りてくる鳥でした。今では一年中見かけますので、ここの彼らは、古き良き伝統を守っている一派なのかもしれません。今頃は、愛知は伊良湖岬あたりで海の上を渡っているグループもいることでしょう。それに比べてあまりにも違うこの生息環境。こんなところでヒーヨと鳴いていていいのでしょうか。

紅葉黄葉

メボソムシクイは、亜高山帯から上でしか見られないと言ってもいい種類。山好き(?)なわけです。それに比べれば、キジバトやヒヨドリはいろいろな環境で暮らせる鳥であることは確か。

もしかしたら、キジバトやヒヨドリは、個体によって棲む場所の好みが違うのかもしれない。海好き、街好き、そして山好きの個体がいて、山が好きなヤツがこういう場所で暮らしているのではないか。
自分がヒヨドリだったら、やっぱり山好き系になるんだろうな…などと、汗を拭き拭き、うまく回らない頭で非科学的な発想を展開していくのは楽しいことです。

でも、ここは生き物が生きていくには厳しい場所だと思います。メボソムシクイはこの環境にうまく適応しているからこそ、繁殖できるのでしょうが、里に生きる動物にとって、決して恵まれた場所ではありません。
本当のところはわかりませんが、競争の結果、やむを得ずここに生きているのだとしたら、彼らには罪な妄想でした。

2009年9月おわり記

風力発電計画中止記念登山

9月大型連休中で、有名な山は大混雑だろうし(本当は索道使ってアルプス稜線に上がりたかったんですけど)、でも乗鞍畳平のクマ事件直後で、人気(ひとけ)のない山も…と行く先を決めかねていた昨夜。

朝起きてみれば快晴。やっぱり大展望の山頂でのんびりがいいね!ということで、表題の意味も込めて根子岳に行ってきました。根子岳登山はこれで通算9回目。

過去の関連記事はこちらです。

菅平自宅発9:35。国道経由駐車場着10:25。ほぼ満車で最後の1台という感じでしたが、登山道はそれほど混雑していませんでした。

登山口発10:30。風力発電施設の建設予定地から離れたルートを登りました。眼下に見える菅平(写真左)は、開発し尽くされた…と言ってもいい眺めです。これ以上はもういいよねというのが正直な印象です。

でも、「山と渓谷」2009年10月号に、環境ジャーナリストの奥田早希子さんがこんな記事を書いていました。

-----「山と渓谷」10月号 YKフラッシュ「根子岳の風力発電中止がつきつけた課題」より一部引用
しかし、木村さん(注:根子岳風力発電を考える連絡協議会事務局長)によると、風力発電をあきらめていない地元住民もいるという。業者から支払われる風力発電用地の使用料により、観光産業の不振を補おうとしているのだ。一方、国は温暖化防止策のひとつとして風力発電の普及に力を入れており、08年度の導入実績約185万キロワットを、10年度には300万キロワットに引き上げる方針だ。両者の思惑が一致したとき、再び同様の計画が持ち上がらないとも限らない。
-----引用ここまで


根子岳の大斜面が、ここ菅平に残された貴重な山岳景観であることは、こうして登ってみるとよく分かります。今日の駐車場も県外ナンバーがずらり。私も含めて人々は、この雄大な景観を求めてやってくる訳です。
巨大建造物が視界を妨げることは、ここの価値を下げてしまうことになってしまうのではないか、観光資源としても大きな風車は馴染まないのではないかというのが、私の意見です。観光産業の不振を風車の回る力で解決しようって、そりゃドーピングみたいなものでしょう。

根子大斜面

話は変わりますが、宮崎駿さんが「崖の上のポニョ」の舞台になった鞆の浦の埋め立て・架橋事業についてコメントを寄せた記事をwebで見つけました。

-----読売新聞「YOMIURI ONLINE」9月21日13時2分配信 より一部引用
埋め立て・架橋事業については、自分なりの考えは持っているけれど、賛成か反対かを主張する気はない。地元の人たちが決めることだと思う。ただ、過疎化や高齢化が進むことで感じるさみしさを、事業で埋められると考えている人がいれば、それは錯覚だと言いたい。
鞆は、僕が住んでいる埼玉県所沢市よりもお年寄りが住みやすい町だ。僕も含めて、年を取ると、友人は死んでいくし、さみしい思いをいっぱいする。そのさみしさは、橋を架けても、摩天楼を建てても変わらない。じゃあ、橋を架けなければバラ色の未来が広がるかというと、それも違う。
判決が出て、勝った、負けたで何が変わる訳ではないが、もし、景観を守ることが大事だという判断が出れば、日本の法制史上、大事な一歩になると思う。
どういう判決でもしこりは残るだろう。狭い町の中で住民が賛成、反対に分かれていることは損なことだ。橋を架ける、架けないとは違うレベルで知恵を出し合ってほしい。そうすれば、鞆を穏やかで住みやすい町にしていけると思うし、若い人もやがて来るはずだ。
-----引用ここまで

これは根子岳を巡る状況とよく似ていて、共感した次第です。菅平でも風力発電を巡って対立の構図が生まれてしまいました。人間関係をずたずたにしておいての「豊かさ」にどれほどの意味があるっていうんでしょうか。

竜胆マツムシソウ

話を登山道に戻しましょう。水の流れはないのに、なぜかキセキレイが先導していきます。アサギマダラ、クジャクチョウ、そして例の高山蝶も3頭見ました。

空あくまでも青く、風爽やか。絶好のハイキング日和。秋の山は素晴らしい。グループ、家族連れ、カップル、独り者、みんな幸せです。

根子登山道

就学前の子ども連れや、リュックを持たない軽装の登山者をたくさん見かけました。トレッキングシューズをはいている方が少ないくらいです。
穏やかな地形で危険な場所は皆無ですし、今日の天候なら問題ないのですが、クロックスで登ってきた人にはちょっとびっくりしました。若いって素晴らしい。

青空七竈

山頂着11:50。ラーメンを作って食べました。山でラーメンが食べたかったんです。
あと1時間は居座ることに決めて、のんびりと山座同定を楽しみました。双眼鏡で見ると、隣の四阿山のてっぺんに人がいるのが分かりました。

北は樹木で視界が遮られますが、あとは本当に見渡す限りの大展望。志賀の向こうに見える山はわからなかったのですが、家に帰ってからカシミールで確かめてみて、こんなところまで見えたのか!とびっくりです。

山座同定スケッチ

私のすぐ後ろに座っていたカップルの会話が時々聞こえてきて、つい聞いてしまったのですが、会話が全くかみ合っていなくて面白かったです。

麻里(仮名)「(中高年グループを指して)あの人達と一緒に下れば速そうだね」
大輔(仮名)「そんなに急いで下る必要はないよ」
麻里「ただ言ってみただけ」
大輔「マリは速いからなあ」
麻里「鼻水出てきちゃった」
大輔「ペンチプレスで100kgは上がったんだけどなあ」
麻里「そろそろ行く?」
大輔「トライアスロンに…(聞き取れず)」

山頂発13:00。帰りはウソの声を聞きました。
先ほどのカップルを途中で抜きましたが、彼らは登ってくるオジサン(弘一さん:仮名)とまたかみ合わない会話をしていました。

弘一「いやあ、きついねぇ」
麻里「もう少しだから頑張って下さい」
弘一「いやそうじゃなくて、あなたたちが」
大輔「はぁ?」
弘一「その格好じゃこの山にはきついってことだよ」

彼らは2人ともデニムで、荷物を持っているのは男の子だけ、女の子はニット素材のカーディガンを羽織った程度の服装装備だったので、それを弘一さん(仮名)は指摘したかったのだと思います。
頂上ではゴアを着てちょうどいいくらいの体感温度でしたし、今朝の菅平は1-2℃ほどしかなかったというから、まあ確かにね。

根子登山道

登山口着13:55。牧場の牛乳300円ナリを飲んでみました。冷えていて歩いてきた体には美味しかったのですが、普通の牛乳との味の違いはそれほどでもなく、300円は高く感じました。風車で誘客を考えるのもいいけど、こういうところをもっと魅力的にしていくことがいいんじゃないかと思う次第です。

駐車場発14:10。県道経由自宅着15:20。

2009年9月おわり記

千曲川周辺ポタ

何もしないままの休日も何なので、行き先を考えず、とりあえず自転車にまたがってみます。これぞ本当のポタリングであります。
風が強い日だったので、追い風にならないように(つまり、帰りに向かい風で苦しまないないように)風向きに対して直角に走ってみます。

千曲川小川

千曲川を渡るときにミサゴを見ました。千曲川に流れ込む小さな川には、ダイサギとアオサギとカルガモ。自転車を止めた途端に警戒され、すぐ飛ばれてしまいました。
稲穂揺れる向こうの山並み上空に、タカが輪を描いていました。小さな双眼鏡を持っていましたが、取りだして構えたときには姿を見失っていました。

田んぼ山道

ぶつかった山裾に沿って適当に走っていると、9年ほど前に歩いたことのある山道の入口に偶然着きました。近年整備されたみたいです。
自転車を置いてヘルメットをかぶったまま登ってみました。展望の利く場所でしばし休息。こういう場所は双眼鏡があると楽しいです。

長野盆地展望某猛禽

某猛禽繁殖場所にも寄ってみました。自転車を降りるとすぐに鋭い鳴き声が聞こえてきました。2羽の姿を確認。カラスにたびたび追われますが、しばらくするとお気に入りなのか、同じ場所に戻ってきます(オレンジの円内に写っています)。
再び千曲川を渡ると、本日2度目のミサゴ。風に乗ってホバリングをしていました。

空千曲川

ここではツバメを1羽だけ見ました。たぶん今季の終認です。
最近トルクをかけると歯が飛んでしまうので、帰りに自転車屋さんに寄って見てもらいました。チェーンラインを調整してもらって症状は収まりましたが、チェーンやスプロケットを交換しないといけないみたいです。

2009年9月おわり記

大盛り蕎麦と雨の森とポタリング

すーやんさんとのオフ会が実現しました。伊那路・安曇野ライドを果たしたすーやんさんが、ついでに(というにはあまりにも遠い寄り道ですが)長野にも来て下さったのです。
ずっといい天気が続いていたのに、この日だけは終日全国的に雨の予報。なんでこの日だけ…と少々恨めしくなりました。

予報通り雨の朝。待ち合わせ場所に向かう間はどきどきしっぱなしでした。はるばる伊勢から来て下さったすーやんさんは、笑顔の素敵な永遠の少年のような方でした。
ずっと以前から顔見知りのような不思議な感覚につつまれながら、とりあえず盛りがいいことで定評のある近所のお蕎麦やさんで腹ごしらえ。

まずは戸隠をご案内。傘を差しての森歩きです。
森の中は薄暗く、気温は14度ほど。鳥の動きは活発でなく、ゴジュウカラを見たいという、それほど難易度の高くないはずのご要望にも応えられずでありました。
でも雨の森は瑞々しく、これはこれでなかなか素敵な森歩きとなりました。

戸隠の森

鏡池はよかったです。せっかく来たのに戸隠山も飯綱山もアルプスも見ずに帰るのかと思っていたのですが、ここでは雨が上がり、ガスが所々切れて荘厳な風景が展開しました。
水面にいたのはカルガモとなんとカワウ。ここでカワウを見たのは初めてです。こんなところにまで…というのが正直な感想でした。

鏡池

雨が上がったので、計画していた自宅周辺ポタリングを実行することができました。すーやんさんが、「灯台もと暗しの森」という命名をおもしろがって下さったので、そこまで一緒に自転車で出かけたのです。
この森の持ついろいろな顔について話をすると、すーやんさんはうなずきうなずき聞いてくれました。
残念ながらここでもご要望のオナガには会えずでありました。

灯台もと暗しの森

あっというまにお別れの時間に。これから伊勢まで帰るのかと思うと、2時間以上車に乗ることが滅多にない私は気が遠くなりました。無事を願い、手を振ってお見送りしました。

すーやんさんのサイトやブログ「小鳥日記」を読み、自分と価値観というか考え方に共通するものがあるなあと思ったり、共感することが多いと感じたりしていました。
普段は一人で歩くことの多いフィールドを、そんなすーやんさんと空間や時間を共有して歩き、ペダルを回せたのは、とても素敵な体験でした。

それにしてもこの日の長野は、最高気温が20度に届かず、夏大好き人間を自認しておられるすーやんさんにとっては酷な?天候でした。長野の秋は短いですが、できるだけ外に出てその表情を楽しみたいと思っています。

2009年9月なかごろ記

ジテツー鳥見(キジ・オオタカ・スズメ)

キジ:メスが茂みに走り込んでいきました。最近自宅周辺では見かけなくなりました。
オオタカ:若い個体が草むらから飛び立ちました。食事中だったのでしょうか。
スズメ:オオタカと一緒に群れが飛び立ちました。草むらでの両者の関係がよく分からん。

2009年9月なかごろ記

秋色ハイク

穏やかな山道を行きます。初めてのルートにわくわく。

ナナカマド

部分的に紅葉が始まっていました。

紅葉紅葉

秋色を探しながら、のんびり歩きました。

秋の花秋の花秋の花秋の花

カラマツ林に入ると、早速ジコボウを見つけました。

キノコキノコ

枝先に、コガラがぶら下がって採餌していました。

森

あと1ヶ月もすれば、この山には冬の寒さがやってきます。

2009年9月なかごろ記

あてもなくふらふらポタ

前回(小さな峠越えで「カーズ」)の旧道を再び走り、途中からひょいと山側に曲がってみます。爆音機の不意打ちにびくっとしながら、リンゴ畑の中の道を上ってみます。

リンゴ畑農道車止め

空に続くかのような、急な坂道は行き止まり。

ため池林道

車止めの先には静かなため池がたたずんでいました。カモが1羽浮いていましたが、遠くて双眼鏡もなくて、正体は不明です。カルガモかな。
少し戻って分岐を選択し直すと、こんな(写真右)林道に続いていました。エナガの声がしました。クマとの出会いは避けたいので、時々ベルを鳴らしてみます。

お堂市街地

森を抜けると、ぽんと小さな集落に飛び出しました。小さなお堂があり、境内に自転車を置いて石段を上がってみました。高曇りの空の下、市街地を遠望しながら一息つきます。

つんのめるような急坂を下ると、あっという間に下界に降りてしまいました。

2009年9月はじめ記

ジテツー鳥見(ホオジロ・イカル・ツバメ)

イカル相変わらずホオジロの声をよく聞きます。

ホオジロは秋にも囀ることは比較的よく知られていて、縄張りを確保するためなんだそうですが、ジテツー的には秋にも…というより、春から秋口までずーっと囀っているような印象です。昨年も似たようなこと書いていました。^^;

あと最近聞くのはイカルの声。

彼らは一年中囀っていますから、他の鳥とは囀りの意味合いが違うんだと思います。朝聞く柔らかで朗らかなイカルの声は、とっても気持ちがいいです。やる気が出るような気がします(気がするだけですけど)。

8月の終わりまで、給餌の際のひなの声が聞こえていて、こんなに遅くまでかかっていて大丈夫?と思っていたツバメの巣。気がついたら静かになっていました。無事巣立ったようです。よかったよかった。

でも、生まれてすぐに海を越える長旅に臨むわけですから、渡り鳥という生き方は大変なものだなあと、改めて思う次第なのです。

2009年9月はじめ記

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