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ストップ!

ストップ!の後には「ひばりくん!!」と続けてしまいそうなワタクシです。

根子岳周辺の風力発電建設が計画されている場所は、おそらく写真の赤い楕円あたり。長野市北部からは根子岳の左肩真正面です。ここに高さ100mをこえる風車が十数基建設される計画だとか。
これに対する私の考え(?)は、2007年11月の野外手帳で書きました。

繰り返しになりますが、こんなに美しい山に大きな風車は似合わないと思います。そして3月19日の信濃毎日新聞にこんな記事が載りました。

----------信濃毎日新聞より引用
URL http://www.shinmai.co.jp/news/20080319/KT080318ATI090020000022.htm

風力発電「県内ほとんど適地なし」 県が影響マップ

3月19日(水)

県は18日、大規模な風力発電施設の建設で防災や環境面の影響が想定される地域の全県マップを公表した。森林機能保全、生態系保全、景観保全、希少生物保護などの観点から「原則として除外すべき地域」「慎重に検討すべき地域」などを示しており、県土地対策室は「県内にはほとんど建設の適地がないことになる」としている。

(中略)

同室によると、レベルI、2(II)でない地域は、発電に十分な風力が得られる可能性が低い平地が多いという。

(後略)

----------引用ここまで

今回は全県マップが出来たということなのですが、根子岳周辺(峰の原高原)のマップはすでに公表されていたのですね。偉そうに書いたのにそれを知らなかったことを恥じつつ長野県ホームページにいってみました。
(http://www.pref.nagano.jp/kikaku/tochi/furyoku/top.htm

pdfファイルから引用させていただきました(引用元リンクは下記)。

まずは凡例を見ると、「原則として立地から除外すべき地域」(レベル1(I))は地図の茶色。水源保全地区や自然公園特別保護地区など。希少猛禽類の営巣中心域も「特に慎重に検討すべき地域」となっています。
「慎重に検討すべき地域」(レベル2(II))は、=黄色い斜線=や、保安林、砂防指定地、地すべり防止区域などは緑、自然公園の第2種特別地域などは黄、希少猛禽類の行動圏などは青です。

全県マップを見ると、確かに建設適地は平地以外にほとんどありません。

そして峰の原高原。

建設計画がある場所は、立地については慎重に検討すべき地域(レベルII)。しかも要素2(自然公園法、県立自然公園条例の特別地域、普通地域)と要素4(希少猛禽類の行動圏及びその推定地域)とに該当する場所です。

猛禽の生息に関しては、ブレードへの衝突事故が懸念されます。ブレードの先端スピードは時速150-300km程になるとのことです。これではさすがに鳥だって避け切れません。鳥の衝突事故は風車に限ったことではありませんが、何も絶滅が懸念される猛禽の行動圏にそういうものを作るのはやめてくれということです。

建設に際しては道路も造られるでしょう。長さ40mほどの風車のブレードを運ぶのですから、かなり大きな道路になるはずです。また風車の基礎を16基作ることになり、それに伴う土砂の排出も相当量になるでしょう。

山岳地の自然は長い年月をかけてたどり着いた微妙なバランスの上に成り立っているものです。これだけの工事が、そのバランスを崩すことがないはずがありません。高山蝶が生息するこの地域では、植生の破壊や変移による影響も心配です。

風車の耐用年数は20年ほどとのことです。たったそれだけの期間の発電のために山岳環境を破壊しても構わないと思っているとしたら、恐ろしいと思います。
事業を継続して風車を更新することになっても、結局また工事や道路は必要になり、植生の回復は望みようがありません。

一度失われた自然や生態系を元に戻すことは難しい。よほどの理由がない限り、ここに大規模な風力発電施設を計画することはあり得ないと思うんですが。

表向きには地球温暖化対策のためということのようです。でも、風車目当ての観光客を呼び寄せたいという気持ちが透けて見えます。
世界遺産の登録申請をめぐる大騒ぎを見てもうんざりします。自然や文化への畏敬の念よりも観光客誘致が先行している感じがしてね。

風力発電施設目当ての観光客って、せいぜい「おおきいねー」記念写真撮って、どこにでも売っているようなお土産買ってソフトクリーム食べて帰る程度です。そして1回行けばもう満足でしょう。
逆に素晴らしい山岳景観や自然、展望をこの地に求めていた人たちの足は遠のくでしょう。少なくとも、何度もこの山に登った私にとって根子岳の魅力は半減です。

この建設計画が地元に感情的な対立をも生んでしまっていると聞きます。悲しすぎます。

長野県公式ホームページへのリンク

2008年3月なかごろ記

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