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根子岳風力発電建設計画がストップしました!

祝!以前この「自由研究」で話題にした根子岳の風力発電建設が計画中止となりました!やりましたねっ!!
根子岳

「灯台もと暗しの森」から四阿山(左)と根子岳(右):2008年12月撮影

前回の記事はこちら。また、野外手帳に書いた関連記事はこちら。

私がこの風力発電建設計画に反対してきたのは
1.建設地がイヌワシの行動圏内で衝突死のおそれがある。
2.建設道路を造る必要があり、森や高山蝶の食草生育地の破壊につながる。
3.上信越高原国立公園特別地域の隣で、巨大建造物は景観を破壊する。
4.というか、何より里から見える美しい大斜面に変なの作らないでほしい。
という理由からです。

でも、自分がしたことと言えば、
1.記事をアップしました。
2.建設反対の署名をしました。

と、こんな程度。大海の一滴・九牛の一毛、何もしないに等しかったのですが、「ハチドリのひとしずく」の気持ちではありました。とにかくよかったです。ちなみに反対署名は2万人くらい集まったみたいです。

根子岳

四阿山との間のコルから:2003年7月撮影

-----------------以下信濃毎日新聞[信毎web]より引用

須坂市峰の原高原の風力発電計画中止、「風弱い」と業者 7月25日(土)

 須坂市峰の原高原で大型風力発電施設建設を計画していた企業「IPPジャパン」(東京)が24日、計画の中止を市や県に伝えた。同社は「風況調査で、十分な風力が得られず、事業見通しが立たないことが明らかになったため」などとしている。県によると、県内の山岳地には同高原も含めて計4件の風力発電施設計画があるが、中止は初めて。

 同社の清田浩・開発部長が、市役所や県庁を訪れ、「風が意外に弱く、事業性が厳しい」と担当者に伝えた。近く県条例に基づく環境影響評価(アセスメント)の手続きを止め、8月中に計画地に設置した高さ45メートルの風況調査塔を撤去。借りている一帯の土地を、地主の財団法人仁礼会に返す。

 計画は2004年2月に浮上。根子岳(標高2、207メートル)中腹に地上高70メートル、羽根の長さ約35メートルの風車を十数基設置し、中部電力に売電する構想で、06年から風況調査をしていた。一方、景観や自然環境に影響するとして、住民らが反対運動を展開。日本生態学会自然保護専門委員会も、中止を求める要望書を同社に提出した。

 計画に反対する住民らでつくる「根子岳風力発電を考える連絡協議会」事務局長の木村輝佳さん(61)は「中止は喜ばしい。県内山岳地に風力発電の大型施設は適さない」と指摘。一方、計画を推進した仁礼会の担当者は「今後、賛成、反対の立場を超えて、高原の行く末を考える必要がある」としている。

 県自然保護課によると、県内では同高原のほか、伊那市・諏訪郡富士見町境の入笠山付近(2カ所)と、上伊那郡辰野町・同郡箕輪町境の桑沢山の計3カ所に、民間事業者の風力発電施設計画がある。いずれも「風況調査の段階で、県が定めるアセスメントの手続きに入っていない」という。

-----------------引用ここまで

http://www.shinmai.co.jp/news/20090725/KT090724ATI090017000022.htm

根子岳

この風況調査塔も撤去されるのですね!:2007年1月撮影

WEB版ではここまでですが、同日の紙面には「解説」として、
改正建築基準法施行で風力発電施設も建築確認の対象になったこと、またアメリカや中国で施設需要が伸びて風車の価格が上昇したことがコスト増を招き、事業判断基準が変化してきたことが中止理由として挙げられています。
また、IPPジャパンの役員は「建設反対の声を無視できなかった」と語ったことも報じられていました。もっとも「直接の判断材料ではない」ということですが。

企業側の本音は、風が弱いということよりこっちのコストの問題なんでしょう。まあいずれにしても、反対してきた方の運動・努力が報われたわけで、よかったなあと思います。

根子岳

根子岳:2005年3月撮影

しかし、地域の住人の感情的な対立まで生んでしまったこの風車問題。風力発電計画に賛同してきた某スキー場経営者は、反対派のペンションにリフト券割引サービスの打ち切りを行うなんてことまでしたんです。

IPPジャパンは、儲からないならさっさと退散するつもりなんでしょうが、仁礼会の担当者に「立場を超えて」なんて苦しいこと言わせないで、貴社が大事に育ててきた感情的なしこりの芽くらい、きちんと摘んでいってほしいと思います。

根子岳

自宅から根子岳:2008年12月撮影

それにしても、「環境に優しい」という謳い文句には、気をつけなければいけないです。今回も推進派は、「風力発電事業は、地球温暖化防止に取り組む先進地として峰の原のアピールにつながる」なんて言っていたんです。もちろん文面の通り、地域振興がねらいなんですが、こうして「環境」を絡められるとなんだか正義に聞こえてしまう。

一見「環境を守る」プロジェクトも、結局は「儲かるかどうか」という話。れっきとしたビジネスなわけです。今回は「儲からない」からやめたんですよね。地球環境のために作ろうとしていた訳じゃない。そこにだまされてはいけない。

根子岳

根子岳:2004年8月撮影

希少な猛禽や高山蝶、これらを育む豊かな生態系を、企業の「儲け」のために壊していいはずがありません。二酸化炭素を出さない、自然に優しいエネルギー開発のためには、貴重な自然の破壊もやむを得ないっていうのは、言い訳として破綻しています。

電力消費を減らす生活を実現できれば、新たな施設を作る必要性は少し低くなるわけです。そういう意味では、今回のこのごたごたも自分自身の問題です。
とりあえず早寝に努め、エアコンは極力使用せずいきましょう。

でも、いつだったか、人口減や節水家電の普及で水道の使用量が減り、採算が合わなくなったために水道料金を値上げしたってニュースがありました。電気も使わなくなったらなったで、同じような問題が起きるのかもしれません。

根子岳

根子岳:2006年2月撮影

2009年7月おわり記

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