過去の野外手帳
-2016年12月
月齢1.8
2017年5つ目の記事ですが、これでようやく2016年分の最後です。写真を1枚だけ。夕方、月齢1.8の細い細い月を撮りました。17時半ごろの撮影です。
2016年はこれまでにも増して、自宅から徒歩範囲での観察記録が多くを占めました。休日の活動が朝か午後からかになってしまうことが多く、移動時間がかかる場所へ行くことが難しいので仕方がありませんが、その分、思いがけない発見があったり、意外な美に出会ったりと、それなりに充実した外歩きができたのではないかと思います。
2017年1月はじめ記
里でキバシリ
2017年4つ目の記事ですが、2016年12月31日の外歩きからです。大晦日もマイナス6℃ときっちり冷え込んだ朝になりました。
飯綱山のモルゲンロート。はるか遠くには常念がピンク色に染まるのも見えました。常念の右肩にちょこんと見えるピークは、カシミール3Dで調べてみると前穂高岳です。
やがて平地にも太陽の光が差し込み、草木にびっしりついた霜が朝日を浴びて輝き始めました。
この朝の鳥は、ツグミ、ヒヨドリ、アオゲラ、コゲラ、シジュウカラ、シメ、カワラヒワ、スズメ、ベニマシコ。
そしてサプライズは表題の通りキバシリでした。下の写真の小さな木立で、コゲラと一緒にいました。こんな里でキバシリを見たのは初めてでした(キバシリの写真はありません)。よい鳥見納めになりました。
2017年1月はじめ記
年末アーベントロート
2017年3つ目の記事ですが、2016年12月30日の外歩きからです。
夕方になってようやく外出。狙いはアーベントロートです。白い山が赤く染まる景色を楽しめるのは、山国に住むひとつの贅沢です。ただ、いつも見られるわけではないし、普段は仕事をしているの時間帯なので、写真に撮れるチャンスはそんなにあるわけではありません。そんなわけで、カメラを手に、いそいそと眺めの良い場所に向かいました。
太陽に照らされている場所がどんどんと上がっていくスピードは思いのほか早く、根子岳が見通せる場所になんとか間に合いました。赤く染まる部分はずいぶん少なくなってしまっていましたけど、なんと見事な眺めでしょう。
この日は、枝越しに常念岳と槍ヶ岳のシルエットを捉えることができたもの収穫でした。下の写真は2枚の画像を連結してあります。
太陽が沈んだ後、薄紫色の空に浮かぶ白い山の姿も好きです(下画像の上)。長野に暮らす幸せを感じながら家に戻りました。
上画像の下2枚は、行きに撮ったジョウビタキと、帰りに撮った金星と火星です。金星と火星はスマホの手持ちです。ここまで写ることにびっくりしました。
2017年1月はじめ記
ハシボソガラスのモビング
2017年2つ目の記事ですが、まだ2016年12月末の外歩きからです。
日の出前に家を出て歩き始めました。この日は東の空に雲が多く、はっきりとした日の出はわかりませんでした。それでも雪化粧した里山を染めるモルゲンロートは見事でした。
この日の長野の朝はマイナス6℃と、長野市平地としては一級の冷え込みでした。
ハシボソガラスが、スギの梢に急接近と離脱を繰り返していました。何がいるんだろうと見ていると、猛禽が飛び出しました。とっさに構えたカメラで連写してみました。
画像を拡大すると、オオタカの幼鳥のようです。以前もこの場所の近くでオオタカを見ています。その時は成鳥だったように思います(画像はなし)。複数個体が生息しているのでしょうか。
朝日が差し始めた田んぼで、たくさんのスズメが採食していました。ふと近くの土手を見ると、雪の上にスズメと思われる足跡がたくさん残っていました。何かの種の殻も散らばっていました。懸命に冬を乗り越えようとする姿を、このような痕跡からも感じました。
鳥はハシボソガラス、オオタカ、スズメの他に、ヒヨドリ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、ホオジロ、カシラダカ、イカル、シメ、ベニマシコ、カワラヒワ、ムクドリ、オナガ。そして最後はおっとりと枝に止まっていたキジバトです。雪面の反射を受けて、明るく撮れました。
2017年1月はじめ記
重装備で朝散歩
新年あけましておめでとうございます。これはまだ2016年12月末の記事です。
きっちり冷え込んだ朝は、日の出の前に家を出るのが吉です。
この(↑)カタバミは、最近撮りまくっている霜写真の中でもかなり気に入った1枚です。ファインダーをのぞきながら、「神は細部に宿るとはこのことか!」と思ってしまったんですが、本来の意味は違いますよね…。
そしてこの(↓)スイバのロゼットも2016年のベスト3に入るくらい気に入りました。美しすぎでしょ!
下の写真、右上は久しぶりにGRD2で撮った1枚です。ごみが撮影素子に入ってしまい、修理に2万円もかかるとあって、絞り開放でしか使えない状態でした。ですが先日アスファルトへの落下事故を起こした結果、ごみが移動したのか、とりあえず使える状態に。こういうのを怪我の功名というんでしょうか。
GRD2は今の水準からすると基本性能がかなり見劣りする感じになってしまい、スマホの方がよく撮れるといってもいいんですけど、広角マクロ機としてこれからも使っていきたいと思います。
朝散歩なのに、光学機器関係はは重装備、望遠ズームとマクロをつけた一眼レフを1台ずつ(マクロは肩にかけ、望遠ズームの方はバッグの中)。ポケットにGRD2とスマホ、そして小さな双眼鏡を首にかけて歩きます。傍から見るとなんだかよくわからないオジサンであります。
探鳥はついで。 ヒヨドリ、ツグミ、ジョウビタキ、カシラダカ、ホオジロ、スズメ、カワラヒワ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス。
2017年1月はじめ記
湿雪の朝
雪がやんだので畦道散歩に出ました。気温は0℃。
この日もスズメたちが活発でした。がんばれスズメ!です。
いつものメンバー。カシラダカ、ホオジロ、オナガ、ツグミ。ほかにはムクドリ、モズ、キジ。鳥たちはたくましく懸命に生きていました。
再び雪が強く降り出しました。家に戻る頃には、カメラも双眼鏡もびしょ濡れになっていました。
2016年12月おわり記
とんぼ返り
所用で東京日帰り。せっかくなので、僅かな隙間時間で葛西臨海公園に寄ってみました。京葉線の電車を降りたのは13:20頃。再び駅に戻ったのは13:55だったので、滞在はたった35分。海岸まで歩いていって、海を見たらすぐ戻ってきた感じです。東京行きそのものばかりか、葛西臨海公園でもとんぼ返りでした。
遠くにカモの大群が浮いているのが見えました。小さな双眼鏡しかバッグに入っていなかったので識別は困難。でもたぶんスズガモです。ハジロカイツブリとカンムリカイツブリはなんとかわかりました。
長野はマイナスス4℃の朝で服装に悩みましたが、スウェットの上にフリースのジャケットを着ていくことにしました。葛西臨海公園のこの時刻の気温は、アメダスで見ると12℃。日差しがあって、ジャケットを着ていると暑いくらいでした。
でも公園では、ダウンを着ている方をたくさん見かけました。暖房のきいた電車の中でもダウンにくるまっている姿は、見ているだけで暑苦しく感じました。
ただ長野でも、秋口に10℃くらいまで下がるとかなり寒く感じます。気温に対する感覚や慣れというのはおもしろいものだと思いました。
2016年12月おわり記
美しき白き里山
昼過ぎに、スギの暗い森をくぐって歩きはじめました。気温は0℃。粉砂糖をまぶしたような風景が、いろんなもやもやを浄化してくれるような感覚でした。
例によって山頂を目指さない山歩きです。山腹を走る林道まで上がって、林道経由で別の登山道にルートをつなぎ、下ってくる予定でした。
今回の山歩きで一番印象に残ったのは山中にあるこの池です。農業用水用の溜池で、普段はなんということのない場所なんですが、白い森を映した静かな水面は神々しいほどの美しさでした。里山歩きはやめられません。
太陽が下がってきたとはっきりわかる頃には、すでに下山道にいました。白い枝の向こうに西尾根が見えました。
この雪の結晶のようなカラマツの林を抜ければ、まもなく下山口です。
2016年12月おわり記
がんばれスズメ
「カシラダカとホオジロ」の続きです。この日は、雪の中のスズメたちの姿もとても美しくて印象的でした。
カシラダカやホオジロも普通種ですが、普通種中の普通種といえばなんといってもスズメです。でもこのスズメも減少が心配されている鳥です。三上修氏のサイトの「スズメについてよくある質問」のページにスズメが減少しているという推定がコンパクトにまとめられています。
当地ではスズメが減っているという印象はありませんが、データを持っているわけではありませんので本当のところはわかりません。ただ、田んぼの面積は以前に比べてかなり減り、住宅の構造も変わっているので、採食や繁殖の環境がスズメにとって不利になっているとは考えていいと思います。
この日のスズメたちは群れを作ってせわしなく飛び回っていました。雪が積もると採食面では厳しくなります。一生懸命に食べ物を探す姿に心打たれます。
2016年12月おわり記
カシラダカとホオジロ
朝の畦道散歩です。この日は今冬初めての本格的な積雪になりました。
普段見慣れた道の眺めが一変していました。雪は芸術家だと改めて感じました。色を失う風景の中でカキの実だけがひときわ鮮やかでした。
スズメたちはびっしりと電線に並び盛んに鳴き交わしていました。ツグミの小群は身動きせずに梢の上。ハシボソガラスが雪片を払いながら飛んでいきます。
カキノキの枝にカシラダカを見つけました。
----------以下引用(山階鳥類研究所広報ブログ 12/22)
UCN(国際自然保護連合)が2016年12月8日に発表したIUCNレッドリストの2016年版の中で、新たに絶滅危惧種に指定された種のうち、日本に生息する種として、日本では冬鳥として越冬のために渡来するカシラダカが、絶滅危惧II類(VU)に位置づけられました。(中略)日本での鳥類標識調査によるモニタリング結果を含む論文で、過去30年の間に75-87%もの個体数が減少したことが明らかにされたことがきっかけになっています。
----------引用ここまで
この日、カシラダカをファインダーにとらえながらシャッターを切る気持ちは、これまでとは少し違いました。冬になればあたりまえに見られると思っていた鳥が、実はとても脆い存在だと知ってショックでした。
歩いているうちに少しだけ空が明るくなった頃、ホオジロに出会いました。そろりそろりと近づいて写真を撮りました。ずっと逃げずにそこにとどまっていたので、途中でカメラを下ろし双眼鏡での観察に切り替えました。
ホオジロもカシラダカと同じく普通種ですが、美しくかけがえのない鳥だと改めて思いました。
2016年12月おわり記
12月中旬の灯台もと暗しの森
すっかり葉を落とした灯台もと暗しの森です。写真には青い空が写っていますが、2℃、曇りのコンデション。近くの里山は霧氷で白く飾られていました。
落ちたドングリが根を出し始めていました。殻からのぞく赤い色が美しいと思います。
色が段々と失われていく季節ですが、この青黒っぽく見える木の肌と薄茶色の林床の色の対比は結構好きです。ところどころに残る常緑の植物の葉が差し色になっています。
ツグミが目立ちました。とても警戒心が強く、地上で採食していた群れがぱぱっと飛び立って枝に移り、すぐに飛び去っていきました。ほかにはヒヨドリ、コゲラ、エナガなど。
葉のある時季には目立たなかった分解者。森の中に浮き出て見える白さでした。森は彼らの手によって循環していくのですね。
2016年12月おわり記
樹上のキジ
日の出の時間帯の畦道散歩で、自分としてはちょっと珍しいものを見ました。リンゴの枝から飛び立つキジのメスです。
左の写真はとっさにレンズを向けたせいもあってうまく写っていないのですが、ブレブレで2羽写っています。
バタバタと羽音がするまで、キジの存在には気づかないままでした。
不意打ちを食わったのはキジ側も同じだったようで、いきなり飛び立ったところまではいつものキジのやり方なんでしょうけど、リンゴの木に掛けられた防鳥網(写真でもなんとかわかる青い網です)にひっかかってしまったのはおそらく想定外、押し戻されることを2,3回。
最終的には地面に落ち、「徒歩」でリンゴ畑から走り去ったという感じでした。少なくともメスばかり3羽はいました。
キジが樹上にいるのは初めて見ました。かなり違和感がありました。エゾライチョウ的!とも思ってしまいました。
ただ、キジが木の上で睡眠をとるという話は聞いたことがあります。飛び立つ前の様子がわからないので、睡眠中だったのかはわからないのですが、もしかしたらその観察例のチャンスだったのかもしれません。
2016年12月おわり記
小さな里山
ほんとに小さな山でしたけれど、久しぶりに山の天辺に立って満足でした。実に5月以来です(「5/4は三世代登山でハリオアマツバメに度肝をぬかれる」)。
山麓には山体の影が伸びはじめていました。
登りはスギの人工林の中の道。帰りは別ルートですがやっぱりスギの人工林。普段は味気ない風景なのですが、この日は高度を下げた太陽が素晴らしい陰影を作っていました。
林道歩きに入ってから出会ったエナガの群れ。
下山する頃には、東山が美しい色に染まっていました。写真は裏岩菅から岩菅の稜線です。
2016年12月なかごろ記
月
12月3日、月齢3.6の月です。地球照も合わせて撮りました。
この日は金星と月が近い日でした。渋滞中の車列から。
2016年12月なかごろ記
霜の朝(日の出後)
昨日アップの「霜の朝」(日の出前)の続きです。
日の出は7:07。こよみによると6:38なので、水平線から稜線まで太陽が到達するのに、29分かかる計算です。
太陽が昇ると風景が一変するのが本当にすてきだと思います。何ということのない畦道でさえこの美しさです。ぞっとするくらいです。
赤く染まる風景と冷えた空気の対比を楽しみながら歩いていきます。
生まれたばかりの朝日を浴びて、カキとリンゴが鮮やかさを増していました。
スズメたちは活発に採食をしていました。
日の出後の霜の撮影は時間との勝負です。それこそ秒単位で解けていってしまうので、土手や建物の影になり太陽の光が当たるのが少し遅れた場所を拾っては、腰をかがめ膝を折って朝日に輝く霜を撮りました。
2016年12月なかごろ記
霜の朝(日の出前)
12月の初め、程よく冷え込んだ朝でした。霜の美を期待して外に出ました。これはうちの駐車場の脇のイチゴです。
ホトケノザを見つけました。花と霜のコラボは美しいです。ただよく見ると、花弁には水滴がついていて、葉は霜です。歩いていると、植物の種類によっても霜の着きやすさに差があることがわかります。これはどういうメカニズムなのか、気になるところです。
これはオニノゲシでしょうか。道ばたの植物の同定がもう少しできるようにならないと。この葉の形は霜の美しさをより引き立てていると感じました。
歩いているうちに山の端に太陽が存在感を示し始めました。
いつもの根子四阿ポイントまで来ました。霜をまとい、色を失っている風景と空とのコントラストがいい感じです。写真だと明暗差が大きくてうまく表現できていません。
振り返ると飯綱山のモルゲンロートです。「日の出後」(後日アップ)に続きます。
2016年12月なかごろ記
