過去の野外手帳
-2010年6月
雨乞いの森
某所にてアカショウビンに遭遇しました。
近頃は、アカショウビンというとブログや携帯で情報を交換し合ったり、何時間も張り付いたり、人だかりを見てポイントを知ったり…ということになりがちみたいです。
とある場所では、人の集中にマナーの低下も重なって、昨年も一昨年もひどい有様になりました。そこへ行くことさえ気が進みませんでした。
でも、この日、この場所では私の他には誰もいないという、相当にすばらしい状況でした。キョロロロロ…と、絶えず聞こえてくるアカショウビンの声はかなりの近さ。ドキドキしながら、緑濃い森に双眼鏡のレンズを向け、姿を探していったのでした。
ようやく(…といっても5分ほどだったか)双眼鏡の視野に姿をとらえましたが、すぐに飛ばれてしまいました。やっぱり視線が合うことはプレッシャーなのでしょうか。飛ぶときはキョロロ、キョロロ、と短め・連続的に鳴くのですね。
通常のキョロロロロ…に戻ったときには、声はかなり遠くなっていました。じっくり見ることはできませんでしたが、この森でアカショウビンが暮らしているという事実が、とにかくすばらしいことです。
再び歩き始めると雨が降り始めました。さすがは雨乞い鳥。天気予報は曇りでしたが、アカショウビンが雨を呼びました。
2010年6月おわり記
家フクロウ
6月初旬の深夜、窓の外から野太い声。すぐ近く。ホーホー。ゴロスケホーホー。フクロウです!
ベランダに双眼鏡を持ってそっと出て、電線、電柱、その他にまあるい頭のシルエットを探してみましたが、果たせず。声はやがて遠くなっていきましたが、声そのものはその後もずっと聞こえていました。闇の深さが似合う声だと思いました。
思えば、初詣に出かけなかった私だけが見られず(2009年1月)、社会体育に迎えに行かなかった私だけが出会えず(2010年2月)、と自宅周辺のフクロウ運にずっと見放されていたわけですが、ようやくここに満願成就?となりました。
2010年6月なかごろ記
まだ5月下旬の話してます
また離されてしまいました。考えてみれば梅雨入り前のお話。
小さな里山を懲りずに歩いていました。とはいっても、最近登った中ではもっとも標高の高い山。
めずらしく単独ではなく男4人で。一人じゃないし、何度か登ったことあるし、また穏やかな山容なので、気持ちはいつも以上にのんびり。
野帳に記入し損ねている山歩きなので、もうちょっと忘れてしまいましたが、ジュウイチの声を聞いたことだけは確か。あとオオルリも鳴いていたかな。そうそう、ヒメギフチョウを見ました。
どーんと見えるはずの北アルプスは雲の中。でも気持ちよくて、パンをかじりながらずいぶん長居をしてしまいました。
2010年6月なかごろ記
戸隠オーバー100
5月下旬の話です。やっと追いついてきた…。
ミヤマスミレ(写真上右)がたくさん咲いていました。
スミレはなかなか覚えられず、このミヤマスミレもようやく見分けられるようになりました。
同じ「深山」がつくコミヤマカタバミ(写真上左)は珍しく一発で覚えた花です。
この花はヒマラヤにも生えているんですってね。知識は世界を広げます。
いつかヒマラヤトレッキングにも行ってみたいんですけど、最近、自分って保守的というか優柔不断というか、実行力に欠ける人間だなって、いろんな場面で自覚します。もともとそういう面はあるのですが、この頃はそれが強まってきているみたい。加齢現象かも。
もっと山に行きたい、もっと鳥を見たい。そんな気持ちはあるのですが、行動が伴わなくなっています。同じ場所ばかり、繰り返し行くのはそのせいかもしれません。
この森を歩いた回数を、野帳で数えてみたら(暇ですね…)、すでに100回をこえていました。ただ、何度歩いても飽きないことは確かなのですが。
大好きなアズマイチゲやキクザキイチゲの花が咲き、里山ではシーズンが過ぎたカタクリが、まだ大群落を作っていました。
この間はコマドリやマミジロを見て興奮しちゃいまして、やっぱり普段なかなか見られない鳥の姿には心浮き立ちます。
でも、この森で珍しい鳥が見られるかどうかは、どうでもいいことのような気がします。
この日も、欲に駆られたカメラマン、バーダーが興奮していろいろしゃべり散らし、蠢いていましたが、彼の言葉には興味が持てませんでしたし、思いには共感できませんでした。
確かに、私は鳥を見るためにこの森を100回歩いたのですが、でも、ただ鳥を見るために100回歩いたわけじゃないんです。うまく説明できません…。
2010年6月はじめ記
冬と夏と
5月中旬の話です。今頃のアップですみません。志賀の一画で、亜高山帯の森歩きをしてみました。標高は1600mほど。芽吹きにはまだちょっと早く、残雪は多く、夏道は埋もれて見えません。
見当をつけて登ってみましたが踏み抜き多発。ミッドカットの靴を履いてきたのは甘過ぎました。
装備だけでなく、心構えも不十分。なので、森の入口をちょろちょろする程度にとどめざるを得ませんでしたが、これまで5月に歩いてきた山や森の季節感を、ぐぐっと巻き戻すような面白さを味わいました。
ヒガラとコガラの透き通った囀りは、季節の逆行感をより引き立てていました。
彼らの声は早春のイメージ。私には、3月、4月のスノーシューを使った森歩きと重なる風景でした。でも、彼らにとっても春はこれからなのかもしれません。
一番盛んにさえずっていたのはルリビタキ。
亜高山帯の雰囲気をたっぷりと含んだ、あのひょろひょろしたさえずりは、早春ではなく、夏山の苦しい樹林帯の急登をイメージさせました。
遠くからツツドリの声がしたのも風景とはミスマッチ。春と夏が交錯した森歩きでもありました。
一番印象的だったのは、森の中段にとまっていたハシボソガラスが、ふと地表に舞い降りたと思ったら大きなヒキガエルをくわえて枝に戻ってきたシーン。ちょっとどきっとしました。
やっぱりカラスはハンターです。
その他、コゲラ、アカゲラ、ウソ、カケスなど。
2010年6月はじめ記
てらてら光る山
5月中旬の話です。今頃のアップですみません。
土曜日の午後、3時間程度の空き時間を確保。小さな里山にとりあえず向かいました。
登山口までの所用時間を考えると、山頂まではとても無理なのですが、ワタクシ的には山道を歩くことに意味があるのでありまして。
最近こればっかりですけど、twitterのツイートから。
小さな里山登ってます。あちこちでコサメ。サンショウクイが梢にいます。上空ノスリのディスプレイフライト。
ニホンリスも見ました。幹をガシガシのぼる仕草が何ともかわいかったのでした。登り始めに見た大きなイチゴ系の花は、調べてみたらクサイチゴらしいです(写真左上)。
新緑に圧倒される感じの山の道。声はすれども姿は見えずのオオルリとヤブサメ。
ほかにはアカゲラ、メジロ、ヤマガラ、エナガ、ホオジロなど。
人のこと言う資格は全くないのですが、こんなに遅い時刻(2時を過ぎている)なのに人が絶えない山です。私より後から登ってくる人もいます。
重登山靴にダブルストックの方は、靴慣らしかトレーニングか。オオルリを双眼鏡で探していたら、鈴を盛大に鳴らして下ってきたおばさんグループに、「ごめんねー、鳥逃げちゃうね!」と心配していただきました。大丈夫であります。
今日は時間切れ。山頂にはもう少しですが引き返します。人気のある山で、こんな時間でも人に会う。遠く八方尾根がてらてら光ってます。
3:37 PM movatwitterから
1時間歩きましたが、やはり山頂には到達できず、展望のきく岩場で一休みしてから下山にうつりました。
八方尾根の「てらてら」をツイートしましたが、もっと近くにたっぷり雪を抱えて、双眼鏡で見ると雪の質感が分かるような光り方をしていた山がありました。
妙高の裏なので頸城方面の山だということは分かったのですが、山容に馴染みがなく、山座同定に自信を持てませんでした。
家に帰ってカシミールに描かせてみると、正体は天狗原山でした。焼山から雨飾までの尾根上にある金山から、南に派生したピークです。お花畑がすごいらしいけど、登るのが地元の里山ばかりになってしまった今日この頃。この山に登ることはあるかな。
北アルプス方面では八方尾根(唐松)から五竜、鹿島槍、扇沢を囲む山々(蓮華あたりまで)がよく見えました。常念山系の向こうの槍もわかりましたが、カシミール上では北穂も見えていて、もっとよく見てくるべきだったと思いました。
ホタルカズラがたくさん咲いていて印象的でした。きずのない新鮮な花を見つけるのが難しいです。
2010年6月はじめ記
シロバナイブキスミレ
5月初旬の話です。今頃のアップですみません。
ずっと気になっていた里山に登りました。自宅からも見える山で、いつか登ろうと思って10年。なんとなくきっかけがつかめずにいたのですが、とてもいい山でした。
この山もtwitterで実況。
約1000mの里山の頂上にいます@長野。残雪の山々を眺めながらのラー メンうまし。コガラ、クロジのさえずり。
12:42 PM movatwitterから
登山口に車はなく、登りでも誰にも会わなかったのですが、山頂では別ルートから来たらしい方がカップラ中。
こんにちは!とあいさつをしてみたのですが無言。聞こえなかったかと思って、爽やかさを増量しもう一度"こんにちは"してみましたが、無視されてしまいました。
昨日の山でもそうでしたが、標高1000mの山頂でもツバメがたくさん飛び交っています。
確かに小さな虫がたくさん飛んでいるのですが、この高度まで餌をとりに来るメリットって何でしょうか。
育雛中だとすると、里の巣に戻るにはそれなりに時間がかかるでしょうし、体力的にもきついだろうし…と思うわけです。
下山開始。ヒガラさえずり。カラマツ梢のオオルリ確認。カケスがノスリのような声で鳴く。
1:33 PM movatwitterから
登りでは気づかなかった白いスミレを見つけました。現場での同定はできるはずがないので、とりあえずいろいろな角度から写真に撮ってみます。
帰ってから図鑑と照らし合わせてみたのですが、だいたい有茎種かどうかもはっきりしません。
お手上げ状態で、エコさんのbbsで相談してみました。エコさん、てばまるさんのおかげで「シロバナイブキスミレ」と判明。
イブキスミレは有茎か無茎か判別しにくい面がある(花の時期には茎が見当たらないのに花が終わると茎が出てくる)とのことで、素人が判断できなかったのは無理ないみたいです。教えていただき、感謝でありました。スミレの淵は深いです。
林道をたどって麓の集落に出れば、リンゴの花と遠く残雪の北アルプス。
2010年6月はじめ記
午後から里山
5月初旬の話です。今頃のアップですみません。
朝は灯台もと暗しの森に行きまして、午後からは近くの里山。
先ほど野帳を繰って数えてみたら、この山に登るのは17回目でした。最近同じ山、おなじフィールドに出かけることがより増えたように思います。これも加齢現象か。
気持ちの良い新緑の尾根道を行きます。ツツジがすばらしい。午前中に引き続き、twitterで実況してしまいました。
里山登山中。今、見晴らしのいい岩場で休んでます。さすがに鳥影は薄いけど、遠くキビタキ、クロジのさえずり。
1:30 PM movatwitterから
ニホンカモシカにいきなりダッシュされて心臓止まりそうになった。
1:58 PM movatwitterから
とまあ、登りはこんな感じ。
山頂での、残雪の山々を見ながらの味噌ワカメラーメンは最高でした。
頂上ではぼろぼろのヒオドシチョウ、下山中にはトラフシジミを見ました。トラフシジミは初めて見ました。蝶はぜひ覚えたいなって思うんですが、なかなか頭に入りません。でもこいつは分かりました。
蝶は捕まえてみないと正確な同定ができないケースは多いのかもしれませんが、やっぱり鳥と同じく、見て識別できるといいなと思います。今使っているのは山渓のフィードブックス「蝶」です。初心者にも分かりやすいと思いますけど、鳥みたいな野外識別用の図鑑ってあるんでしょうか。
携帯のアンテナが立ってから再びツイート。
下山しました。たくさんのメジロに励まされました。今車道歩いて車に戻る途中。これが一番疲れる。
4:29 PM movatwitterから
フォローして下さっている方とやりとりもしながらの山歩きは、ちょっと妙な気分でした。
2010年6月はじめ記
5月初旬の灯台もと暗しの森
twitterを始めてから更新滞りがち。一度文字にすると、なんだか面倒になってしまうんです。野帳に記録をつけているのですが、いつからか野帳に書く前にwebにアップすることが増えてきたら、そっちがなおざりになってしまいがちでした。それとおんなじです。
そんなわけで、1ヶ月近く遅れた記事で、すみません。で、灯台もと暗しの森です。大型連休直後の朝、歩いてみました。
ちなみにtwitterからはこうツイートしていました。実況ってちょっと楽しい。
いつもの近所の雑木林。センダイムシクイ以外の夏鳥は抜けてしまった
か…と少しさびしい気持ちで歩いていましたが、ただいまキビタキつがい発見。
7:20 AM movatwitterから
サンショウクイ、オオルリの声も。とりあえず帰ります。
7:51 AM movatwitterから
ウワミズザクラ咲き、ツツジのつぼみがふくらんだ頃。葉がだいぶ茂ってきていたのですが、まだまだ見通しのきいた、5月初めの灯台もと暗しの森でした。特記事項は、シメがまだいたことです。
2010年6月はじめ記