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アカショウビンを自称野鳥ファンから守る提案

ああ、今年も嫌なニュースです。

-----------------以下信濃毎日新聞[信毎web]より引用

アカショウビン撮影にカメラの列 野鳥に与える影響懸念 7月13日(月)

北信森林管理署が撮影禁止にした区間でカメラを構える野鳥愛好家ら=12日

※画像は引用していません

 北信地方の林に今年も飛来した野鳥「アカショウビン」のつがいを撮影しようと、大勢のファンが訪れ、繁殖への影響を心配する声が上がっている。管轄する北信森林管理署(飯山市)は11日、巣に最も近く、ファンが集まる場所に「撮影禁止」の札を掲げたが、法的根拠はなく、12日も職員が巡回するまではカメラがずらり。関係者は、関心の高さは歓迎しながらも保護との両立に頭を悩ませている。
 12日午前7時半。つがいがすむ林には既に50人以上が集まっていた。林を縫う木道のうち、巣まで約25メートルと最も近い場所の手すりには「撮影禁止」の札。しかし約40人が三脚を立て、アカショウビンが羽ばたくたびに、シャッターの連続音が響いた。
 県内で絶滅の危険が増大しているとされるアカショウビンは、独特の体色からファンあこがれの野鳥だ。生息地の情報は口コミやインターネット上で簡単に入手できるという。埼玉県川越市の男性(70)は「体が鮮やかな赤できれい。見られる場所も少ない」と撮影に来た。
 北信森林管理署によると、この林では2007年にも営巣しかけたが、途中で姿を消した。08年はカメラの放列にさらされながらも繁殖に成功。今年は雄が5月下旬、雌が7月に入って飛来し、今は産卵前の大事な時期という。
 飛来とともに訪れる人が増え、6月下旬の週末は100人近くがカメラを構えたという。同森林管理署は「あまり人が集まると、つがいが警戒して巣を放棄してしまうかもしれない」と懸念するが、撮影を禁じることはできない。「禁止」の札は苦肉の策だ。
 「アカショウビンにとって大切な時期です。分かりますよね」。12日朝、林を訪れた森林管理署職員は、札がある木道に三脚を立てた人たちに、巣から約40メートル離れた場所から撮るよう呼び掛けて歩いた。多くは応じたが、中には「25メートルと40メートルで何が違うんだ」と言う人も。
 横浜市の男性(65)は「希少な鳥を守りたいという思いは分かる」としつつ、「せっかく遠くから来るので、良い写真を-とつい夢中になってしまう」。日本野鳥の会長野支部長の小柳守男さん(71)=上田市=は「注意を喚起しても強制力があるわけではなく、ファンの良識に任せるしかない部分もある」と話している。

-----------------引用ここまで

http://www.shinmai.co.jp/news/20090713/KT090712FTI090006000022.htm

情報弱者たるワタクシは、今年も北信地方の森に飛来したことは知っていましたが、その後、情報は何も得ていなかったので、どこかに行っちゃったか、また今年は特に問題になるようなことにはなっていないのか…なんて思っていましたが、とんでもなかったです。

北信森林管理署の撮影禁止方針、いいんじゃないでしょうか。支持します。

いちいち揚げ足とりますと…

「25メートルと40メートルで何が違うんだ」:こんなこと言ってしまうんですね。
このコメントが事実ならば、この方は鳥を観察したことがないです。離れていたら逃げなかった鳥が、近づいたら逃げる経験は、鳥見をしていれば必ずあります(鳥を見ない人にだってもちろん分かることです)。反論書くのもばからしいです。40mでも十分かどうかわからないのに、醜い写欲はこう言わせてしまうんだ…と思いました。

「希少な鳥を守りたいという思いは分かる」:こんなこと言ってしまうんですね。
このコメントが事実ならば、人の守りたいって思いは分かるけど、それより、俺がばっちりいい写真を撮ることの方が大事ってことです。希少な鳥だからこそ、わざわざ遠くから写真を撮りに来ているわけで、確信犯ですね。

と、こんなイヤミも言いたくなります。

でも、こんなこと書いても、自慢のカメラ、自慢のレンズ、自慢のデジスコシステムがとらえる、「体が鮮やかな赤できれい」「見られる場所も少ない」被写体としてしかアカショウビンを見ない方には何も伝わらないのだと思うと、ちょっと虚しいです(というか、人生一般において、イヤミは大体伝わりませんが)。

最近はサンコウチョウが旬なのか、サンコウチョウの営巣写真がおおっぴらにあちこちのブログやBBSにたくさん貼られています。
もちろん、サンコウチョウの繁殖に配慮して注意深く撮影したものもあるのでしょうが、なぜ葉の茂った林内で営巣するのかを考えると、もう少し気を遣ってあげてほしいと思うもの多く、自己満足や自慢も多く。

拙BBSに書き込んでくださったNikoスカG山さんによれば、営巣の放棄も起こってしまったとのこと。それでも喜々として画像をアップしてしまうような、鳥が好きでもないのに野鳥を撮影する輩はますます増え、状況は悪くなるばかり。
そう感じます。偏見だったら誰か言ってください。

アカショウビンも少なくてもここ長野県北部の森では状況よくありません。
そこで!

アカショウビンを守る提案 その1

入口に見張り小屋を設け、この北信地方の林では6月~8月の三脚持ち込みを禁止する。
三脚がなくてはねー。長い時間張り付く撮影者や観察者を減らす効果は大きいです。もちろん法的根拠はなしであります。

アカショウビンを守る提案 その2

入口に料金所を設け、この北信地方の林では持ち込み機材の価格数%を入山料、入林料として徴収する。
ロクヨン抱えた方なら5万円ほどはいただけるでしょうか。デジスコでも1万ほどはもらえます。クレジットカードも使えるようにしましょう。有料化は人出の抑制に効果ありですよ!
基準がはっきりしないようなら、レンズやスコープ、双眼鏡の口径に比例して課金したらどうでしょう。もちろん法的根拠はなしであります。

アカショウビンを守る提案 その3

問題となっている通路を通行禁止にする。
これは簡単。クマが出るとか火山性ガスが発生しているとかモンスターが出るとか呪われるとか、理由は何でもいいですよね!法的根拠はないかもしれませんが、管理者として通路の封鎖は可能でしょう。

アカショウビンを守る提案 その4

法的根拠を作ることも考えてみました。

アカショウビン画像の単純所持を禁止する改正法案(何の?)を今国会に提出する!
アカショウビン画像個人で楽しむために所有する「単純所持」を禁じ、特に「北信地方の林でアカショウビンや一般散策者への迷惑を省みず写欲を満たす目的で撮影」した者を処罰。その証拠としてブログや電子掲示板への画像投稿や付されたコメントを採用できるものとしましょう。
改正法施行前から所持していた画像については、処罰対象に含むとする意見と「さかのぼるべきではない」とする意見とがあるようですが、そんなことよりサンコウチョウ営巣写真にも本法律を適用すべきとの改正意見の方が大事だと思います。

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もちろん「その4」は、今国会で成立するらしい児童ポルノ禁止法に関する報道をアレンジした悪い冗談です。
その2はお遊びの域なのですが、このアカショウビンのケースではなくて一般論として、自然を守るためにコストを負担するっていうのはありだと思っています。

その1は、とある方から聞いたアイディアで、見張り小屋を設けるという部分をのぞいては私のオリジナルではありません。ペット連れての入山禁止とか、自転車乗り入れ禁止というのと同じ意味合いですよね。小屋を建てなければ十分可能です。

そして、その3は、実現の可能性を探ってもいいのではと半分本気で思います。

私は山にも登りますが、登山の世界にもオーバーユースという問題があって、深田百名山のような有名山岳のお手軽コースに登山者が集中し、山が荒れることが指摘されています。ちょっと似ているかもしれません。
でも、例えば登山道が植生保護のため立ち入り禁止となっていれば、大体の登山者はそれに従います。法的拘束力はきっとないのでしょうが、山が好きで登ってきているのならならそうします。

希少な鳥の繁殖を妨害しないために道を閉鎖するということは、強制力はなくても正当性は十分にあり、普通の感覚の方なら守ってくれると思うのです。鳥見、鳥撮りというのは野の鳥の暮らしがあってこそ成り立つ趣味ですから、野に暮らす鳥が好きで大事に思う気持ちがあれば…。
とここまで書いて気づきました。その気持ちが、たぶんないんですよね…。

自然を大事にしたいという気持ち自体、強制力とかそういうものの正反対の側にある感情だと思います。法的根拠とかそれがあるとかないとか、もしそういうことを言い出すのなら、野鳥を見たり撮影したりなんてことはやめてほしいと思います。愛がなさすぎます。

せっかくの超望遠レンズと高性能カメラをいかしたいと思うなら、飛行機とかレーシングカーとかサッカー選手などを撮っていてください。それらを撮るのはいい趣味だと思いますし、撮影も楽しそうです。
なにより(サッカー選手は繁殖する可能性がありますが)飛行機やレーシングカーは営巣放棄があり得ませんから、安心です。
デジスコなら、昆虫だって面白いらしいですよ。

アカショウビンを守る提案 その5

そして、でもやっぱり野鳥を撮るなら(見るなら)、せめて鳥たちの生活に与える悪影響をできるだけ少なくするように、対象や時期、場所、距離、時間、方法などを考えてはくれませんか。

2009年7月なかごろ記(改変追記あり)

以下再掲

営巣写真が問題だと考える理由は以下の通りです。私見です。

・長時間の撮影(待機)によって鳥の繁殖にストレスをかける可能性があること。特に数を減らしている夏鳥など、慎重に対応すべき種があると思います。
・鳥の巣に近づくことで捕食者に狙われやすくなる可能性があること。
・撮影そのものに問題がなくても、出版・公開された写真が営巣写真を撮ろうとする人々を増やし、繁殖場所の特定につながり、結果的に鳥の繁殖に悪い影響を与える可能性があること。以前は写真図鑑や雑誌でも営巣写真をよく見かけましたが、最近ではなるべく掲載しないことが出版の世界では共通認識になっているものと思います。しかしwebでの公開にはかなり問題のある状況ではないでしょうか。

「可能性」ばっかりですが、そのくらい臆病でちょうどよいのだと思っています。
もちろん、学術調査や、巣と人との距離が伝統的に?もともと近い場合(軒先のツバメや神社のフクロウなど)、遠くから見通せる巣の場合(鉄塔のカラスや芽吹き前の森のキツツキなど)のように許容できるもの・ケースはあるのでしょう。

2006年7月なかごろ記

過去の関連記事

自由研究「わかりあえない夜」2006年7月
自由研究「わかりあえない夜・その後」2006年7月
野外手帳「軽井沢にて」2009年1月

その後

2009年の北信のとある森のアカショウビン、繁殖失敗だそうです。とても残念です。

2009年7月おわり記

ローインパクト

新聞にこんなコラムが載りました。

-----------------以下信濃毎日新聞[信毎web]より引用

斜面 8月11日(火)

受難の夏-。北信地方の林で子育てを始めていた野鳥のアカショウビンのつがいは、こうつぶやいているのではないか。まずは殺到する愛好家らのカメラの放列だ。こらえていたら、次は巣を作った木が倒れてしまった◆キョロロロロという独特のさえずり、林の緑に映える赤い色…。カワセミの仲間で、鳴き声や色から人気がある。東南アジアなどにすみ、夏は日本に渡って繁殖する。絶滅が心配される希少種のこともあり、生息地の情報が口コミやネットで広がりやすい◆〈カメラの列/青くなっています-アカショウビン〉(北海道・あのね)〈カメラの列/怒りのポーズを取った-アカショウビン〉(埴科郡・紀坊)。どっと押し寄せる愛好家の過熱ぶりを本紙が報道すると、こんなコントが県内外からさっそく寄せられた◆ 一帯の林を受け持つ森林管理署がたまりかねて、「撮影禁止」の札を掲げたほどだ。おととしは同じ林で産卵前のつがいがシャッター音などに驚き、姿を消している。ことしのつがいは我慢して卵を温めていたのに、巣を掘った朽ち木の方が倒れてしまう◆見回りの職員の話では、1日のことだ。幹の太さがひと抱えほどのシラカバである。つがいはその後、姿を見せなくなる。今季の巣作りはもう無理だろうという。雨がちの天候が倒木を早めたのかどうか、は分からない。私たち人間にも気がかりな空模様が続く。

-----------------引用ここまで

http://www.shinmai.co.jp/news/20090811/KT090810ETI090005000022.htm

最終的には、アカショウビンの繁殖失敗は“自然の営み”であったということです。でもだからといって、今回の一部のカメラマンの行動は容認できません。

自分は正しいがあいつらは間違っているという話は、あまり説得力がないでしょう。
大体、自分自身が灰色です。鳥を見ること、撮ることだけじゃなく、歩くこと、立ち止まること、全ての行為は鳥に何らかの影響を与えています。「白」でいるためには、鳥を見ることや撮ることをやめればいいわけですが、人間が生きて生産消費活動すること自体も灰色なので、極論を言えば人類が滅亡しなくてはなりません。

せめて、できるだけローインパクトを心がけることが、野を歩き鳥を愛でるものの努めでしょう。自分の行動の影響が大きくなりそうなら、見ること・撮ること・行くことはやめる。そんな判断ができるようにしたいと思っています。

2009年8月なかごろ記

撮り鉄と撮り鳥

-----以下引用毎日jp
20日午後5時ごろ、滋賀県草津市渋川1のJR東海道線草津駅で、京都駅へ回送中の臨時列車「あすか」が止まっていたホーム近くの線路内に、カメラを持った人が立ち入っているのを別の電車の乗務員が見つけた。電車を止めて注意しようとするとそのまま立ち去った。回送のあすかが7分遅れで発車したほか、上下計5本が緊急停止するなど最大で10分遅れ、約3500人に影響が出た。
-----引用ここまで
いわゆる「撮り鉄」問題ですが、「あすか」を巡っては14日にも50人以上が線路内に立ち入って列車が止まりました。このときは1万人以上に影響が出たらしいです。
このニュースが、このサイトでも何度も取り上げている「撮り鳥」問題に重なって見えたのは私だけではないと思います。
このくらいならいいだろうという軽率な判断が、重大な結果につながりかねなかった点で同質です。
-----以下引用毎日jp
ファンの男性(21)は「(中略)大半のファンはマナーを守っており、同一視されるのは迷惑」と憤慨。JR西は「鉄道好きだからこそ、マナーを守ってほしい」と話している。
-----引用ここまで
「鉄道」という言葉を単純に「野鳥」に置き換えて意味が通ります。野鳥についても全く同じです。

※2010/02/21の「覚え書き」と同じ内容です。

2010年1月はじめ記

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