野外手帳
-2025年6月
クロベの森
2025年7月28日記
クロベの巨木を見に行きました。ミズナラ大王と同じく、年に一度は見ておきたい木です。
この日の最高到達地点。以下はこの森で見られた花や生き物の紹介です。
林床にはゴゼンタチバナが見事です。
亜高山の森に来たんだなと思わせる花です。そういえばゴゼンタチバナの木彫りを作り始めたことがありましたが、放置して何年も経ってしまいました。
ギンリョウソウ。
腐生植物というのも不思議な営みだなと思います。
これも亜高山帯の植物、ハリブキ。
ハリブキの花にイカリモンガが同時に2頭止まっていました。ちょっとフォトジェニックだと思いましたが、それは蛾が魅力的だなんて思っているとても一般的ではない感覚が故で、蛾なんてと思っている人にはレンズを向ける意味を見いだせないでしょう。
ヤマキマダラヒカゲ。この色彩、模様、蛾に見える人には蛾でしょう。でもよく見れば見るほど複雑で美しい翅裏です。
未同定エダシャク。
イワカガミ。花は終わっていました。
ハクサンチドリ。鋭い感じ。
モミジカラマツ。
葉がモミジです。
ヤマオダマキ。
こちらキバナ。
エゾイトトンボがいました。
未同定キノコその1。イグチ系でしょうか。
未同定キノコその2。サナギタケに似ています。
シシガシラ。形が魅力的なのでついつい撮ってしまいます。
形が魅力的といえばこのシダも。
「シダハンドブック」には載っていない葉っぱなので、それ以上調べるのをあきらめていたのですが、検索してみるとヤマソテツに葉の雰囲気が似ています。
胞子葉の形も面白いのですが(↓)普通の葉のこの展開時のくるくる(↑)がかわいいです。
鳥は、メボソムシクイ、エゾムシクイ、センダイムシクイ、ウグイス、ヤブサメ、ルリビタキ、オオルリ、ヒガラ、ツツドリ、ジュウイチを確認。エゾムシクイはかなり近かったのですが、姿を見ることはできませんでした。ジュウイチはかなり久しぶりに声を聞きました。以前この森で姿を見たことを思い出しました。
これで6月の記録はおしまいです。
モウセンゴケなど
2025年7月28日記
6月下旬のワタスゲが揺れる高層湿原歩きです。
「ワタスゲが咲いている!}と言いたくなってしまいますが、もちろんこれは綿毛で、花をきちんと見たことはありません。
カオジロトンボを期待しましたが見ることはできませんでした。
ヒメシャクナゲには遅かったです。
ヒオウギアヤメ。
モウセンゴケです。
モウセンゴケの「モウセン」は漢字で書くと「毛氈」でフェルトのことだそうです。モウセンゴケが群生しているところは真っ赤になって、まるで赤い毛氈を敷いたように見えるところからの命名だとか。毛氈は赤が一般的で、雛人形や茶席で用いられる赤い布のことだと、今回初めて知りました。
モウセンゴケのすぐ近くに咲いていたこの花はツルコケモモのようです。
英名はクランベリー(Cranberry)。名前は聞いたことがありますが、食べたことはあるのかどうか。ドライフルーツにしたものはタルトによく使われるというので、もしかしたら口にしたことがあるのかもしれません。欧米ではシチメンチョウのローストにはクランベリーソースは欠かせないのだそうです。
ギンイチモンジセセリ
2025年7月27日記
「アカモノなど」のつづきです。ここにこの時季に来るのは、アカモノとこの蝶がねらいです。
ギンイチモンジセセリです。「ギン」がつくとつかないとでは大違いです。
特に珍しい蝶ということはないのですが、安定して見られる場所は、私はここしか知りません。どこにでもいる蝶というわけではないようです。調べてみると分布は局所的ではあるが個体数は多いという記述が見つかります。食草はイネ科のススキ、エノコログサ、チガヤなど、いろいろなところに生えている植物なので、なぜ分布が限られるのか不思議に思います。
シロツメクサが大好きで、あとヒメジョオンなどで吸蜜している姿をよく見かけます。これは珍しくニガナにいたところ。
ここではアキアカネも見ました。まだ6月下旬だったわけですが、これは平地で羽化した個体がもう上ってきたということなんでしょうか。
アカモノなど
2025年7月27日記
標高1500mを超える高原に上がってみました。ここまで来ると亜高山帯らしい植物が見られます。とは言ってもよく行く戸隠森林植物園も標高は1200mありますので、それほど違うわけではありません。
ここの楽しみ、アカモノです。これは戸隠では見られません。ここにはまとまった群落があります。
例年より花の数は少なかったです。早すぎたのか遅すぎたのか。
少し変わった名前は、赤い実がなることから。赤桃が転じて赤物になったという説があります。実は桃には見えませんし大きさもまるで違いますが、甘くて美味しいとのことなのでそこからなんでしょうか。
ゴゼンタチバナ。
マイズルソウ。
ツマトリソウ。
サワギキョウ。
ギンリョウソウ。
ハクサンシャクナゲでいいと思います。花の中に緑色の斑点があります。
葉の葉柄へのつながり方も識別点だということなので撮ってきました。ハクサンシャクナゲは上の写真のように基部が浅い心形なのに対して、アズマシャクナゲは葉柄に滑らかにつながるような形です。
ニッコウキスゲ。まだつぼみの株が多かったです。
咲いている場所もありました。
これはヤナギラン。まだまだです。
カッコウの毛虫食い
2025年7月27日記
午後6時から畦道を歩きました。6月下旬の夕方です。
西の空の雲は赤く色づき、さらに彩雲としての色も備えていました。
空を眺めていると、ときどきすてきな発見があります。
太陽が沈んだ後のハシボソガラス。
まだ色を残す空を飛ぶツバメです。
帰ってくると、自宅のアンテナにカッコウが止まっていました。鳴いてはいませんでした。
しばらく見ていると、隣家の庭木に飛び込み、しばらくすると近くの電線に上がりました。
大きな毛虫をくわえていました。
キツめに画像処理をかけてみると、毛虫はマツカレハっぽいです。そのあと下の写真のように盛んにマツカレハをぶん回していました。マツカレハは毒刺毛があるので、それを取り除くためなんでしょうか。
6月はじめに、毛虫の毒針毛や毒棘を鳥はどうやって避けているのだろうとFediverseに書き込んだら、フランスの方より返信がありました。とても興味深い内容でした。以下はその日本語訳です。
シジュウカラ、特にシジュウカラとアオガラは、刺毛の危険性にもかかわらず、コウモリガの幼虫を食べることができる数少ない鳥類の一種です。彼らは、いくつかの行動的および生理学的戦略により、これらの毛の毒性を阻止します。 シジュウカラは毛虫を食べる前に、刺毛を捨てます。彼らはくちばしを使って皮膚と毒のある毛を取り除き、毒性のない内側の部分だけを残して、それを食べたり、雛に与えたりします。 この「皮を剥ぐ」行動により、刺す物質との直接接触を避けることができます。シジュウカラは、まず、まだ針毛が生えていない若い毛虫を好みます。幼虫が刺すようになると(3齢から)、シジュウカラは幼虫を食べ続けるが、頭を切り落とし、消化管を摘出することで、危険な毛にさらされるリスクを減らすことができる。 いくつかの情報源によると、エボシネズミは刺毛に対してある程度の鈍感さ、または耐性が強いため、目立った悪影響を受けずにこれらの獲物を扱うことができるそうです。しかし、彼らの主な防御手段は、獲物を準備する技術のままです。
シジュウカラについてはこういうことがあるのかもしれませんが、カッコウのこのぶん回し作戦だけでは、毒刺毛を除去できるとはとても考えられません。
マツカレハがふにゃっとしたところで、カッコウはそのまま丸飲みにしてしまいました。トケン類は毛虫類を好んで食べるので、きっと何らかの毒刺毛対策があるのだとは思います。
アカンやつ
2025年7月20日記
6月下旬の畦道です。
出発は10時半、晴れ、気温29℃です。
用水沿いにはミズキの花。
稲の生育はこんな感じでした。
オタマジャクシの姿が増えてきました。
桑の実。
その下にはムクドリ(↑)やスズメ(↓)の姿がありました。
やはり暑いのか、スズメは口を開けていました。
ヒヨドリは人家の軒先で日陰に入っていました。
ほかにはカワラヒワ、コムクドリ、ハシボソガラス、トビを確認です。
さて、見慣れぬ蝶を見ました。帰ってから調べると、外来種のアカボシゴマダラとわかりました。赤い斑があるイメージがありましたが、それは夏型とのこと。春型はこのように白化するのだそうです。
図鑑には1998年に神奈川県で初記録。南関東に分布を広げ山梨県、静岡県でも記録されているとありました。国立環境研究所の侵入生物データベースによると次の通り。
----------以下引用
神奈川県(藤沢,大磯,横浜,鎌倉,逗子,葉山,綾瀬,大和,茅ヶ崎,川崎),東京都区内,伊豆大島で記録されている.2010年以降は埼玉県,千葉県,茨城県,栃木県,群馬県へと関東全域に分布を拡大している.近年,静岡県,愛知県,岐阜県,石川県,山梨県でも目撃情報がある.
----------引用ここまで
ついに長野県にも到達ということのようです。
ほかに見かけた蝶。
ホシミスジ。
ルリシジミ。
写真はありませんがモンシロチョウも見ました。
出発時は29℃でしたが、帰ってきたときには30℃を超えていました。梅雨はどこへ行ったのというような天気です。
たぶんヒメ
2025年7月20日記
特に場所を秘す某所、エゾムラサキの群生地に行ってみました。6月下旬の記録です。
エゾムラサキの花は終わっていました。前回の記事はこちらです。また来年。
クリンソウもおしまいです。やっぱり戸隠より少し季節の進み方が早いです。
コバノフユイチゴ。
森の中にニッコウキスゲが咲いていました。ちょっと場違いのように感じてしまいました。
林縁に出ると歌うホオジロ。ほかにはウグイス、アオジ、ホトトギス、キバシリ、キジバト、キジなどを確認です。
以下昆虫画像。
エゾイトトンボ。
スピードはありませんが葉と葉の間を精緻に飛び回ります。こういうのに比べるとドローンとか、なぜ「クルマ」なのかはよくわからないですけど空飛ぶクルマとか、自然にはかなわないなと思ってしまいます。あ
カワトンボの仲間。
以下鱗翅類の画像。
ヒメシジミかアサマシジミ。ヒメシジミと考えました。準絶滅危惧種。
上の画像で黄緑色の円内の黒斑の中に青い鱗粉があればミヤマシジミですが、これはないのでヒメかアサマ。そして水色の円内の黒斑が円形なのがヒメ、楕円形なのがアサマということです。この画像だけ見ると、楕円形に見えるのでアサマかとも思えるのですが…
こちらは雄と思われる個体。こちらの黒斑は下の画像のようにほぼ円形。
黒斑の形には例外もあるということなので、ヒメシジミとしてみたわけです。アサマシジミの分布が局所的という情報もあって、こんな場所にそんな希少な蝶がというバイアスもかかっていますが、なにせ人が歩いていない秘めたる場所なので、可能性としてはゼロではないです。
この手の蛾はみんなユウマダラエダシャクに見えるのですが、前翅前縁の灰色斑の中に輪があるような気がするので、その近縁種と思われます。
不明シャクガ。
ミスジツマキリエダシャクが近いように思いますが…。蛾の世界は果てなく広く深く難解です。
戸隠の蝶
2025年7月20日記
6月下旬の戸隠森林植物園、その4です。その3はこちら。今回は虫編。
アサギマダラ。1頭だけいました。ここ戸隠では個体数はあまり多くありません。志賀ではたくさん見られる場所があるのですが、その近くでクマ事故が起きたこともあり、現在は足が遠のいています。
クロヒカゲ。
汗を吸いにやってきました。割と敏感な蝶で近づくとすぐに飛んでしまうのですが、このように寄ってくることもあってどっちなんだいと思います。
ヤマキマダラヒカゲ。「サト」キマダラヒカゲとの見分けは、「勘」です。一応前翅裏側付け根の3つの黄色い紋の並びがかくっと折れている感じなので、ヤマでいいと思うわけです。
サカハチチョウ。
スジグロシロチョウの仲間。スジグロシロチョウなのか「ヤマト」スジグロシロチョウの雌タイプですが、どちらなのかはちょっと難しすぎです。
蝶はまだまだ寂しい感じです。これからですよね。
カワトンボの仲間。これも深入りは無用です。
歌うミソサザイ
2025年7月20日記
6月下旬の戸隠森林植物園、その3です。その2はこちら。今回は鳥などの動物編。
この日確認できた鳥は、アオジ、ノジコ、クロジ、シジュウカラ、ヒガラ、キバシリ、ウグイス、ミソサザイ、キビタキ、オオアカゲラ、コゲラ、ツツドリ、ホトトギス、キジバトです。
近くで見ることができたのはミソサザイ。
木道を支える杭の上は、絶好のソングポストのようです。
近づいてもあまり警戒する様子がありませんでした。嘴の開き方がすごいです。
小さい体から響き渡るパワフルな美声。
近くに巣があるのでしょうね。
こちらはアオジです。
囀っている個体はわずかでした。
オオアカゲラ。
これはモリアオガエルの卵塊です。
園内を流れるクリークには魚の姿。ヤマメでいいんでしょうか。調べてみると、イワナは背中に白い斑点、ヤマメとアマゴはパーマークがあり、アマゴには朱色の斑点があるということ。そうするとこれはヤマメかなと。
水面の浮遊物を食べ物かどうか確かめる行動が見られました。
ヤマメの前方に、水面に落ちたカゲロウのような虫の姿が見えます。こういうのを捕食する行動から毛鉤が生まれたのですね。
それは残念、枯れ葉です。枯れ葉でも口にしてみるという行動を見ていると、毛鉤はそんなに精巧にできていなくてもいいのかなと思ってしまいましたが、釣りというのは奥が深いのでしょうね。
ケナシヤブデマリほか
2025年7月20日記
6月下旬の戸隠森林植物園、その2です。その1はこちら。前回は新たに咲いた花中心の紹介で、今回は、前も咲いていた花その後です。
まずはケナシヤブデマリ。7月になってからも戸隠に行く機会があって、「ケナシ(毛無し)」であることを確かめてきました。今はもう結実しています。
装飾花は5裂しますが、その裂片の1つは小さく、そのために蛾のように見えます。それが好みです。
クリンソウ。
そろそろおしまいという段階でした。7月現在はヤブデマリ同様、すでに結実しています。
シロバナノヘビイチゴ。前回はあちこちに花が咲いていましたが、今回はもう数えるほどでした。
ズダヤクシュの花もおしまいです。
シラネアオイの結実。
サンカヨウの実はぷくぷくと大きくなってきていました。
エゾユズリハは、新しい葉と古い葉の色の区別がつかなくなっていました。
訪れるたびに季節の進行の速さに驚きます。歳を取るわけです。
コバイケイソウ風に揺れる
2025年7月18日記
6月中旬は戸隠に行くことができませんで、下旬になっての6月3回目の戸隠でした。
前回、6月上旬はズダヤクシュやユキザサが目立った林床、今回多く見られたのはこのクワガタソウです。
名前の由来は、三角形の実につく萼の形が、兜の飾りである鍬形(くわがた)に似ていることからで、植物の和名あるあるのそこかいという印象です。花から名前をつけるのが自然だと思ってしまうのは、素人だからか、現代の感覚なのか。
ちなみに昆虫のクワガタムシの名前も、同じく兜の装飾由来です。
ようやく咲いたという印象のヤグルマソウです。名前の由来は葉の形が鯉のぼりに使われる矢車に似ているからだそうです。確かにこの植物は花より葉が印象的で、自分としては珍しく納得がいく例です。
ギョウジャニンニクも開花しました。ネギの仲間だなと改めて思います。
ツクバネソウ。戸隠ではクルマバツクバネソウよりやや遅れて見られるようになりました。
サイハイラン。最初にこの花を認識したのはここ戸隠でした。最近になって、自宅から徒歩圏内のいつもの近所の森でも咲いていることを知りました。
コバノフユイチゴが開花。半月前にたくさん咲いていたシロバナノヘビイチゴの花は姿を消していました。やはり上旬とは花がだいぶ入れ替わっています。
ヒオウギアヤメ。
池のほとりにはまとまって咲いていました。ヒオウギアヤメの名前の由来は、アヤメは花から来ているわけですが、ヒオウギは期待を裏切らず、そこに着目する?というもの。葉の出方が檜扇に似ているということなんだそうです。個人的には内花被片が小さいことが特徴であり見分けだと思うわけですが。
さて、前回つぼみを見て楽しみにしていたコバイケイソウも咲きました。
コバイケイソウが林立する湿地の眺めは本当に美しいものです。この花を揺らす風も実に爽やか。昨年は咲かなかったわけですが、調べてみると毎年は咲かないのだとか。
名前の由来を調べてみると、小さいバイケイソウということなんですが、印象はかなり違います。バイケイソウのバイは「梅」で、確かに花の形は梅に似てないこともないですが、コバイケイソウは上の写真のように全然違います。
バイケイソウのケイソウは尢磨iケイラン)という植物に葉が似ているところからだそうです。尢魔ヘ紫蘭(シラン)の古名。縦筋が並ぶ葉という点では確かに通じるところはあります。
大好きサラサドウダン。ドウダンはドウダンツツジからで、これは灯台躑躅から。サラサは更紗で、インド発祥の文様を染めた木綿布。花から命名されている植物はなんかわかりやすいです。
タニウツギ。谷に咲く空木。だんだん和名由来を確かめるのが面倒になってきました。ほんとに幹の中は空洞なんですかね?
でもこのサワフタギはやっぱり気になる名前です。その枝葉が沢を覆い隠すように茂るからということです。納得感は薄いです。珍しく青い実がなる木のなのに、なぜそこに着目しなかったんでしょうか。
別名は「ルリミノウシコロシ」で、「瑠璃実」、やっぱりこれでしょう。「牛殺し」はかなり強烈ですが、これは本種のことではないとのこと。カマツカという植物とどうも葉が似ているらしく、カマツカは鼻輪を作って牛を制御するのに使われた木だそうです。最初にこの名を知ったときには毒があるのかと思ってしまいました。
で、このサワフタギにいたこのイモムシはミドリヒョウモンっぽいと思うんですが、スミレが食草のはずなので、違うのかもです。これと同じに見える芋をタチカメバソウの葉の上でも見ました。
自宅でカッコウ
2025年7月18日記
カッコウの声が聞こえると、すぐに窓から姿を探すようにしています。この日は自宅から道路を挟んで立つ電柱にカッコウがやってきて、カーテンの影から見ることができました。こういうとき2階リビングは具合がいいです。
とはいっても、なかなか長居はしてくれません。あっという間に飛んでいってしまいます。止まっているときに比べると飛んだ姿はずいぶん大きく見えます。
美しいアオシャク
2025年7月16日記
6月2回目の戸隠、その4です。
モリアオガエルの卵塊です。
セミの抜け殻。時期的にはエゾハルゼミっぽいです。この写真の触角部分を拡大して節の長さを見てみると、やっぱりエゾハルゼミのようです。
こちらのセミはエゾハルゼミっぽくありません。近くに抜け殻は見当たりませんが、雰囲気的に羽化してそれほど時間が経っていないように感じました。
前胸部をぐるっと囲む縁取りが確認できるので、エゾゼミかなと思います。
カワトンボの仲間。すてきメタリック。
ニホンカワトンボかアサヒナカワトンボだと思われるのですが、見分けは私には無理です。
センブリの仲間。
山地の渓流近くで見られる昆虫で、幼虫は他のの水生昆虫を食べるのだそうです。
さて見覚えのあるイモムシです。家のマサキの生け垣にたくさんいたミノウスバです。でもここにマサキはなし。調べてみると、マサキ以外にマユミ、コマユミ、ニシキギを食べるそうです。だったらここにもいますよね。
マエアカスカシノメイガ。
アオシャクの仲間。とても美しいです。ウスキヒメアオシャクが一番近いように思います。ヒメウスアオシャクとの違いは、外縁に白点が並ぶことで、そのようにも見えます。
アトボシエダシャクと考えてみました。翅を半開きにして止まる特徴も合っていると思います。
この角度からしか撮れなかったです。サカハチクロナミシャクかな。シラフシロオビナミシャクやシロオビクロナミシャク、シロホソオビクロナミシャクなどかもしれません。上から撮りたかったところです。
鳥の写真は今回はこの1枚しかありません。キビタキです。
観察種はホトトギス、ツツドリ、カッコウ、ノジコ、アオジ、クロジ、アカハラ、クロツグミ、キビタキ、コルリ、コサメビタキ、ヒガラ、コガラ、ウグイス、メジロ、サンショウクイ、ニュウナイスズメ、キバシリ、アカゲラ、キジバトです。20種でした。
シロバナノヘビイチゴ開花
2025年7月16日記
6月2回目の戸隠、その3です。今回は新たに咲き始めた花の紹介が中心です。
シロバナノヘビイチゴです。
ヘビイチゴと名前はついていますが、オランダイチゴ属で実は食用になります。いわゆるヘビイチゴはキジムシロ属です。
戸隠森林植物園では比較的多く見られます。山地帯から高山帯下部に見られるイチゴだそうで、どちらかというと太平洋側に多い種類だとか。戸隠は日本海側の多雪地に生育する植物が多い印象があるので、ちょっと意外でした。
別の場所ではもう完全に咲いているヤブデマリが、ここではまだ咲き始めの段階です。そうそう、戸隠のはケナシヤブデマリという話です。今度、葉の裏に毛があるかどうか確かめてみます。
これはもう少し咲き進んだ株。まだ花が新鮮です。
ツリバナ。これは昨年も書いたと思うのですが、写真のように花弁や雄蕊は5枚、5本の5数性です。看板には「ヒロハツリバナ」とあるのですが、ヒロハツリバナは4数性。うーん。
マイズルソウ。2025年の野外手帳ではもう何度も登場していますが、戸隠では初めてです。
ツマトリソウ。
その4につづきます。
6月も花いっぱい
2025年7月14日記
「毎週来たい戸隠」のつづきです。
先週も見られたヤマシャクヤク。数日で散ってしまうらしいので、これはその時見た花とは別の花なのだろうと思います。
咲き始めたばかりのものもありました。とてもきれいです。
多いとは言えませんが、とても印象的な花なので、あっちでもこっちでも咲いていたという感じがしました。
それにしても見事。
実もすばらしいので、秋が楽しみです。
サンカヨウ、まだ花をつけている株がありました。よく見ると同じ株なのに実もついています。
結実の様子。
シラネアオイは一部だけ花が残っていました。
この時季の林床の主役、ズダヤクシュです。前回はまだ咲き始めたばかりでしたが、今回は見頃を迎えていました。
派手さは全くありませんが、美しい群生です。
ユキザサも増えてきました。
この花の群生も大変美しいです。
遠くから見てもこうして拡大してみてもいい花です。
チゴユリ。
サワハコベ。
クルマバソウ。
ホソバノアマナ。
ルイヨウボタン。
エンレイソウ。
エゾユズリハ。
トチノキ。
さらにつづきます。
毎週来たい戸隠
2025年7月14日記
6月2回目の戸隠森林植物園です。まだ6月上旬の記事です。更新が遅すぎますがよろしくお付き合いを。
コバイケイソウのつぼみが大きくなってきていました。
もうすぐ咲きそうです。昨年は全く咲きませんでした。今年は美しい光景が期待できそうです。
クリンソウ。まだこんな段階のものもありましたし(上)、こんな段階のものもありました(下)。
標高が低いところに比べるとやっぱり花期は遅れます。
タチカメバソウは盛りを過ぎ始めていました。
前回からまだ1週間しか経っていないのですが、花を見ると季節がどんどんと進行していくのがわかります。毎週来ないと見たいものを見逃してしまいます。本当は仕事などしている暇はないのです。
さすがにニリンソウはおしまい。今年も楽しませてもらいました。
ギョウジャニンニクのつぼみ。
トビイロトラガなど
2025年7月14日記
6月上旬、いつもの近所の森です。
前回とてもきれいだったエゴノキの花はおしまいです。また来年。
ウグイスカグラの実。
イボタノキの花。
前回見つけたオニノヤガラは健在。
葉緑素を持たない腐生植物です。ランの仲間なんですね。
これも前回見つけたサイハイラン。そろそろおしまいといった感じです。
この森にはたくさんあるマムシグサ。
シジュウカラの群れがいました。親子のようです。この画像には4羽写っています。一番右のは幼鳥であることが見て取れます。食べ物をねだっています。
これはキビタキのメスのように見えます。
小声でさかんに鳴いていました。地鳴きだったのでしょうか。
これは森の中で歌うホオジロ。よく高い木のてっぺんなど見晴らしの良いところで囀っているのを見ますが、このように森の中層をソングポストにすることもあるのですね。
以前にも書いたように、この森は住宅街と隣接しているので、森の中でスズメを見かけることが多いです。こうしてみるとかなりの保護色です。
鳥はこのほかに、ヒヨドリ、サンショウクイ、コゲラ、アオゲラを確認しました。
葉の上にいたサシガメ。脚が縞々なのでシマサシガメだと思われます。
コジャノメ。
マダラエダシャク系。前翅の前縁の灰色斑の中にうっすら輪が見えるような気がするので、ユウマダラエダシャクではなく他の種類と考えました。ヒメマダラエダシャクあたり?(これ以上は無理)。
エダシャクの仲間と思われます。ここまで。でもこれはこの森でよく見るやつです(そしていつも未同定)。
さて今回の美麗種。初めて見ました。最初何か薄い膜状のものに覆われているのかなと思いましたが、よく見ると翅の模様。
家に帰って調べてみると、トビイロトラガであることがわかりました。ちょこんと見えているオレンジ色の部分は、後翅が前翅の間から飛び出しているのだそう。
森を出たところで電線に止まるシジュウカラを見ました。
何かをくわえています。
画像を拡大してみるとクモであることがわかりました。
巣に運んでいく最中なのでしょうか、そそくさと立ち去ることにしました。
というわけで、盛夏前最後の「いつもの近所の森」の記事でした。この日もメマトイがひどく、これからは蚊がたくさん出てきて歩くのが辛くなるので、秋までこの森での観察は中断です。
口を開ける鳥たち
2025年7月13日記
6月上旬の畦道です。まだ田んぼの稲はこんな感じの頃でした。
若いムクドリがあちこちにいました。逃げ足(羽)が遅いです。
口元に幼さが見えます。
暑さのせいか、口を開けている姿をよく見ました。この日の気温は28℃で、これを書いているのは7月中旬と比べてしまうとそれほど高くはないのですが、急激に気温が上がった日でした。今現在(7月中旬)は30℃を大きく超える日が続いています。今日(7/13)は朝こそ涼しかったものの、35℃に達しました。
こういう夏がこれからずっと続けば、鳥に限らず、身近に見られる生き物の種類や数が大きく変わってくるかもしれません。
ハシボソガラスも口を開けていました。いくら羽毛の断熱がいいとはいっても黒は辛そうです。
ヒヨ ドリも。呼吸による排熱だけで間に合うのか心配になってしまいます。
ツバメ。
キジバト。デデッポポーとさえずっていました。あまり嘴を開けることなく歌うのですね。
カゲロウの仲間を葉の上に見つけました。この角度でしか撮れなかったこともあって、そこから先はわかりません。
スイカズラ。フェンスにからまっていたので間違いありません。スイカズラは蔓性なので。ヒョウタンボクの花はこれにそっくりですが、低木なので見分けられます。
ナヨクサフジ。休耕田を覆っていました。とても鮮やか。外来種です。
この田んぼも耕作をやめてしまいました。ハラビロトンボやショウジョウトンボなど、他の場所に比べていろいろなトンボが見られた場所でした。仕方ないこととはいえ、さびしく残念に思います。
桃芯食い蛾
2025年7月13日記
庭のドクダミです。
同じく庭に咲くオルレアにはアカスジカメムシがいました。
そしてこの方達がびっしり。ヒメマルカツオブシムシです。
バラにやってきていたツマグロキンバエ。
モンシロチョウ。ヤグルマギク添え。
モモシンクイガらしいです。約3000種が載っている「日本の蛾」にも約1700種が載っている「くらべてわかる蛾」にも見当たりませんでしたが、リンゴやモモにとってはかなり問題となる害虫のようです。検索すると防除に関する記事がたくさん見つかります。幼虫は果実を食い荒らすとか。「桃」「芯」「食い」「蛾」なんですね。
和名は外見的な特徴からつけられていることが多いわけですが、これほど食害ズバリの名前はほかにはちょっとないかもしれないです。
オオアカゲラほか
2025年7月12日記
サクラスミレエリアでの鳥と虫の記録です。
オオアカゲラ。個体数は多くないとされていますが、ここでは比較的観察例が多いです。その他、ウグイス、エナガ、モズ、カッコウ、アオジを観察しました。
アカスジキンカメムシの幼虫です。成虫が見たかったです。成虫には最近出会えていません。まあ贅沢は言うまいです。幼虫でもいいじゃないか。
シュッとしたステキデザインの蛾。調べてみると、キマエクロホソバでいいみたいです。キベリネズミホソバという類似種がいて、本種と違うのは前翅の色が薄いこと、頭部が黄色いことだそうです。あとはよく似ているということなんですが、じゃあなんで「キマエ」と「キベリ」なんでしょうか。クロとネズミは理解できます。
シロスジヒメエダシャク。なんとかマダラエダシャクとは斑紋のパターンがかなり違います。前翅と後翅のラインがつながるようになっているのがすてきふしぎ。
ウスクモナミシャクあたりと考えてみました。ただ、ミツボシナミシャク、コウスグモナミシャクととてもよく似ていて、大きさで区別するとのこと。もちろん大きさはわからないので、結局未同定です。
ルイスアシナガオトシブミでいいんでしょうか。前脚の膨らみが特徴みたいです。ルイスとは明治時代に来日した昆虫学者の名前だとか。プライアもそうですね。
オトシブミのゆりかごもあったのですが、調べてみるとルイスアシナガオトシブミのものではないみたいです。
サクラスミレはおしまい
2025年7月12日記
サクラスミレエリアでのお花見です。6月上旬の記録。
サクラスミレはこのひと株だけが辛うじて花びらをつけていました。
ジンヨウイチヤクソウ。まだつぼみです。つぼみの期間が長いです。
チゴユリ。
クルマムグラ。
マイヅルソウ。
クリンソウ。
見事な群落があります。
ここからは木の花。
ミツバウツギ。
ミヤマニガイチゴ。
レンゲツツジ。
さて、新しく咲き始めたのはヤブデマリです。
戸隠で見られるのは「ケナシ」ヤブデマリということですが、ここのはどうなんでしょう。そもそも見分け方がわかっていませんでした。
この記事を書くにあたって調べてみたらケナシはその名の通り、「葉に毛がない」ということでした。葉の裏面を見る必要があるみたいです。来年の課題にします。
サクラスミレは終わってしまいましたが、このあたりは花が豊富で楽しいです。秋には大好きなアケボノソウも咲きます。
ただ、最近はクマの事故が多く、ここは他に人が歩いているのを見たことがないので、気をつけなければと思います。
エゾムラサキありがとう
2025年7月12日記
今シーズン4回目のエゾムラサキのお花見です。6月上旬の記録。
だいぶ草丈が伸びてきていましたが、まだまだ大丈夫でした。
今シーズンはもう一度来られるかどうかだなと思っていましたが、結果的にはこの日が最終となりました。今年も楽しませてもらいました。
美しい蛾
2025年7月7日記
部屋の中に入り込んだツバメエダシャクの仲間。
惚れ惚れするような美しさです。同定に重要な顔の写真を撮るのを怠ってしまいました。全体的な印象としては、ウスキツバメエダシャクでよいと思います。
Fediverse(Mastodon)にアップしたら、きれいというよりはかわいいという反応が多くて、自分としては少し意外というか面白かったです。
虫って難しいね
2025年7月4日記
6月上旬の戸隠森林植物園、いろんな写真を撮ってきたので記事は4分割、今回の記事はその4つ目です。
1つ目は白い花その1、2つ目は白い花その2、3つ目は白以外の花、そして今回は主に虫と鳥です。
そのヤマドリゼンマイがたくさん生えている湿地で羽化途中のトンボを見つけました。
「トンボハンドブック」で調べてみましたがはっきりしません。これだけはっきり胸の模様が写っているので、もっと簡単に同定できると思ったのですが…。
センブリの仲間。日本には何種類かいるようですが、外見だけでの同定は難しいみたいです。
不思議な名前なのでAIに由来を聞いてみたら、「センブリは植物の名前であり、昆虫の名前ではありません。」と返ってきてしまいました。
キクビアオハムシと考えてみました。図鑑に載っているのはもっと「黄首」なんですが、色彩には変異があるようです。難しいです。
ネクイハムシ亜科ミズクサハムシ属と考えてみました。Googleレンズがなければそこまでたどり着けませんでした。
ミドリヒョウモンの幼虫でいいと思います。
これもイモムシ図鑑にはぴったり来るものはありませんでした。でも頭部と胴体とのミスマッチ感がヨトウガの幼虫っぽいです。web図鑑で見てみたらノコメトガリキリガが一番近い感じ。
コルリ。激しく2羽で争っていました。キビタキのようにブンブンという羽音がしていました。
アカハラ。その他鳥はアオジ、ノジコ、コガラ、ヒガラ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、キバシリ、ミソサザイ、ウグイス、コサメビタキ、キビタキ、ホトトギス、ツツドリ、カッコウ、オオアカゲラ、コゲラ、カケス、カワラヒワ、ニュウナイスズメ、カルガモを確認しました。
今回は鏡池まで行ってきました。
6月になったというのに、駐車場脇には未だに残る除雪の山がありました。この冬は本当に雪が多かったんだなと思います。
青系紫系赤系緑系他
2025年6月30日記
「戸隠6月白い花 1」 と「2」 の続きで、今回は白じゃない花の紹介です。
まずはラショウモンカズラ。平安時代の武将、渡辺綱が京都の羅生門で退治した鬼女の切り落とされた腕に花の形をなぞらえたものだそうですが、どういう想像力だ!と思ってしまいます。
やってきていたのはトラマルハナバチでしょうか。
フデリンドウ。
図鑑を見ると根生葉がロゼット状なのがハルリンドウ、根生葉がないのがフデリンドウという説明や、ハルリンドウは1つの茎1つだけの花、フデリンドウは1つの茎にたくさんの花をつけるという解説が一般的です。ただそれはわかりにくいことが多いと思います。
個人的には葉の形を見るのが簡単だと感じます。ハルリンドウは細く尖った葉のようですが、フデリンドウは上の写真のように広卵形の葉です。
オオタチツボスミレ。
ムラサキサギゴケ。
なんとカタクリの花がまだ残っていました。
シラネアオイはさすがにそろそろおしまいです。
ちなみにこの紫色のものは花弁ではなく萼片だそうです。花弁はないとのこと。
クリンソウは咲き始め。
アズマシャクナゲ。
ルイヨウボタン。
緑色の花というのもなんともいいものです。黄色い蜜腺の周りの小さい緑色の部分が花弁、まわりの大きなのは萼片です。
クルマバツクバネソウ。この花の構造もちょっと変わっていますよね。ここらになると何色の花とは言えなくなってきます。
ナツトウダイ。この花も何色とはうまく言えません。
エンレイソウ。
エゾユズリハの葉が展開し始めました。
これは雄花のようです。花弁も萼片もありません。
黄色いレンゲツツジ。キレンゲツツジです。
おそらく自生ではなく植えられたもの。
エゾアジサイはまだ固い蕾でした。
最後はシダ。ヤマドリゼンマイでいいんだと思います。これまでなぜ「ヤマドリ」ゼンマイなのか深く気に留めたことがありませんでした。調べてみるとヤマドリが生息するような場所に生えることに由来するという説と、上の写真の胞子葉をヤマドリの尾に見立てたという説とが見つかりました。個人的には後者を推したいです。
戸隠6月白い花 2
2025年6月29日記
「戸隠6月白い花 1」の続きです。
白い花の真打ちはこれ。
見事なヤマシャクヤク。すばらしいフォルムです。
つぼみもありました。
花の中は虫でいっぱい。彼らにとっては夢のゆりかごのようです。
数は多いとは言えませんが、あちこちで咲いていました。数日で散ってしまう短命の花だそうです。この花を見られるのは幸運と言っていいでしょう。
これからの主役、ズダヤクシュ。まだ咲き始めという段階です。1週間もすれば林床はこの花で埋め尽くされるでしょう。
サワハコベ。
ミヤマエンレイソウ。
咲き始めたユキザサ。
これも戸隠では多い花です。
サンカヨウはまだ一部残っていました。
でも多くは結実。
顔をのぞかせたコバイケイソウ。確か昨シーズンはほとんど咲かなかった記憶があります。
これも白い花に入れていいでしょう。まだ咲いていないギョウジャニンニク。
これも咲いてませんが、白い花になるはずのヤグルマソウのつぼみです。
ズミ。
ウワミズザクラ。
トチノキ。まだ黄色がかっていますが、この花も白に入れておきます。
戸隠6月白い花 1
2025年6月29日記
6月上旬の戸隠森林植物園です。探鳥とミズバショウのハイシーズンは終わっているので、朝はゆっくり目に出ても駐車スペースは大丈夫です。
私も鳥よりはお花見中心。今回は戸隠の6月の白い花の紹介。
まずはなんといってもタチカメバソウ。
みんな大好きムラサキ科。
ムラサキ科のコシジタビラコにも期待したのですが、少し早かったでしょうか。
ミドリヒョウモンの幼虫と思われる芋がタチカメバソウの葉にいました。確か食草はスミレ類だったと思うのですが。
ホソバノアマナ。
スタイリッシュな素敵な花です。
小さな花ですが、葉の貧弱さに比べると大きな花とも言えます。あの葉での光合成で栄養はたりるんでしょうか(たりるんでしょうけど)。
カノツメソウ。
割と最近覚えた花です。
前にも書いた記憶があるのですが、名前の由来は根が「鹿の爪」に似ているから。またしもそこかよ?という着眼点です。
クルマバソウ。
横顔アップ。漏斗状。クルマムグラとの相違点。
いい花です。
たくさん咲いていたタネツケバナの仲間。オオバタネツケバナらしいです。
チゴユリ。
花弁基部が緑がかっているのがまたいいです。
だいぶ伸びたニリンソウ。もう少し白い花は続きます。
ウンモンスズメかっこいい
2025年6月29日記
ウンモンスズメを見つけました。ちょっと興奮。これは望遠レンズで。
近づけたのでこれはマクロレンズで。カメラボディが違うせいか1枚目と色合いが異なります。こちらのほうが実物に近い感じ。なんというかっこよさでしょう。
バラシロエダシャクでいいと思います。
よくわからないです。クロオビリンガが近いでしょうか。
ユウマダラエダシャクでいいと思います。前翅前縁の灰色の斑に暗褐色の紋がなければユウマダラエダシャクです。
自分にはとてもじゃないけど同定が不可能なシャクガ。シダの葉と比べてわかるようにかなり小型でした。
ヒモワタカイガラムシ。
意外な出会い2件
2025年6月28日記
6月上旬のいつもの近所の森。エゴノキだけを取り出して前の記事にしたので、他の話を。
ちょっとびっくりしたことその1はこのサイハイラン。戸隠で見たことはありました。ここでも見られるとは!という感じで意外性のある出会いでした。花のつき方が戦国武将の使う「采配」を連想させることからの名前らしいですが、どうもしっくりきません。
ちょっとびっくりしたことその2。これはオニノヤガラっぽいです。これもこの森で見られるとは!という印象でした。名前は漢字で書くと鬼の矢柄で、まっ直ぐ伸びた姿を矢に見立てたものということです。確かにちょっと不気味な印象もあります。葉緑素を持っていないので光合成を行わず、菌と共生して栄養を得ている植物だそうです。
ヒョウタンボク。蔓性ではなかったので、スイカズラではなくヒョウタンボクでいいと思います。
イボタノキ。名前の由来を検索したら、「イボタロウムシ(イボタ蝋虫)が寄生し、その分泌したロウ状物質を家具の艶出しや滑りを良くするために使った」との結果でした。その「イボタ」が何なのか知りたいんだよ!ともう少し見てみたら、なんと「疣(いぼ)取り」にその蝋が使われたということらしいです。
この森に春を告げるように真っ先に咲いたウグイスカグラは結実。
林床にはドクダミがいっぱいでした。
エノゴキ写真集
2025年6月28日記
6月上旬、いつもの近所の森にエゴノキの花が咲くシーズンがやってきました。
いいです。
すごくいいです。
よすぎです。
エゴノキの名前の由来は、実を食べると「えぐい」ことなんだそうです。果皮にサポニンをたくさん含んでいるのだとか。ヤマガラなど野鳥には好まれる実なんですけど、ヤマガラは中身だけ食べているようです。
これだけ美しい花が咲くのに、わざわざ食べないでもいい実のエグさからの命名というのがなんとも。このような、そこ?と感じる命名例は植物の和名あるあるです。
英名はJapanese snowbellで、花の印象からの命名です。
ただ、この実は魚毒にも用いられていたらしいので、和名こそが人々の生活に密着した名前と言えるのかもしれません。実をすりつぶして毒流し漁に使ったとか。
ただ毒性はそれほど強くないみたいで、同じように毒流し漁に用いられたと言われるサンショウの樹皮と比べると実用にはならなかったという話もあるようです。
庭木として利用されることもあるようです。この美しさですから。ただ管理は難しいみたいです。横に広がりやすくこまめな剪定が欠かせないとか、花と葉が落ちると掃除が大変だとか。「エゴノキ 植えてはいけない」で検索するといろいろヒットします。
畦道のアカンやつ
2025年6月26日記
ここから6月の記録です。6月中になんとか6月の記事に入れました。まずはいつもの畦道散歩から。
川沿いに咲いていたこれはたぶんオオキンケイギク。アカンやつ(日本の侵略的外来種ワースト100)です。最初は法面の緑化などに利用されていたとのことですが、在来種の生息に影響があるので、今は栽培や販売が禁止されているそうです。この川沿いでも一気に増えた印象でした。この植物の強さを物語るような、アスファルトの隙間から生えているとは思えないほどのある意味見事な眺めでした。
川の中にもたぶんキショウブ、これもアカンやつ(要注意外来生物)です。
アカンやつは、ほかにもこの畦道でたくさん見られて、セイヨウタンポポ(外来タンポポは侵略的外来種ワースト100にも選ばれています)もそうですし、ハルジオン、ヒメジョオン、セイタカアワダチソウもそれです。キショウブの写真を「美しい自然」として写している写真を見るともやっとしますが、セイヨウタンポポやハルジオンなどはそうでもないのが、自分でもいい加減だなと思います。
6月はノイバラの季節。別名野バラで日本のバラの代表的な原種です。
スイカズラ。よく似た花を咲かせるヒョウタンボクは低木、こちらは蔓性です。別名金銀花は花の色が白から黄色に変わることから。
道端にはナワシロイチゴが見られました。実は食用になるみたいです。
以下ムシ編。
泡を見つけて、その中の住人を取り出してみました。
泡の主。アワフキムシの仲間の幼虫です。泡の正体は、この幼虫が大量に吸った植物の汁を排泄したのもの。その際アンモニアなどを混ぜて泡を作るとのことです。この泡には界面活性剤と同じ性質があり、ほかの昆虫が入ることができないのだそうです。誰が考えたのか、すばらしい仕組みです。
アケビの蔓にいたベニキジラミ。どうやってアケビにたどり着くのか、本当に不思議です。
ドクガの幼虫と思われます。アカツメクサは食草ではないと思うんですが…。「みんなで作る日本産蛾類図鑑」によると食草は、バラ科:サクラ属、バラ属、キイチゴ属、コナラ属、カキノキ科:カキ、タデ科:イタドリとありますので、そこからの移動中だったのかもしれません。
