過去の野外手帳

-2007年11月

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美名のもと

尾根は冷たい風が吹いて薄い手袋では手がかじかみました。ゴアの雨具を羽織って、木の葉が宙に舞い上がるのを見たりしていました。

背中を丸めて歩いていくと、ウソの柔らかい声が梢から落ちてきました。双眼鏡を向けてみると無彩色の風景の中に紅色の頬がとても鮮やかで、感激してしまいました。

三角点で一人の登山者に会いました。誰もいないだろう思っていたので意外でしたが、別のルートから登ってこられたようです。昨日は飯綱、今日もここが2つ目の山だということでした。私よりずっと年上の方でしたが、私よりずっと元気です。

ルートの情報交換をしたあと尋ねてみると、隣の地区にお住まいだということがわかりました。となれば毎日目にする風景もよく似ているということで、根子岳に持ち上がっている風力発電施設建設計画はやっぱり嫌ですよねぇという話になりました。

高さ100mの風車を十数基並べる計画なのです。私が反対する理由は以下の通りです。

風力発電が二酸化炭素排出の削減につながることは確かなんでしょうけど、ネットをあちこち徘徊していると、中にはエコロジーのためには貴重な動植物への悪影響や環境・景観の破壊は構わないと考えている方もいるようです。
例えば、イヌワシの生息が確認されたため関西の風力発電建設が中止になったことを嘆いているある方の論理を私なりに解釈するとこんな感じです(表現は改変しています)。

こういうのを読む限り、自然環境を守りたいというより風車が好きなんだろ?って思ってしまいます。全国で500羽くらいしかいないイヌワシなんだから、彼らにとって重要な場所にあえて作るのはやめてくれっていう話なのですけどね。

などということを話しながら腹立たしく思い出しているうちに日もぐんと落ちてきて、お互いの無事を祈りながらそれぞれの下山ルートへ。

ここまで書いたら、ちょうどタイミングよく地方紙に記事が載りました。1月26日付信濃毎日新聞に「須坂・峰の原の風力発電計画・観光への影響見えず対立も」というタイトルで特集が組まれていました。

記事によると、風力発電計画に賛同する某スキー場は反対派のペンションにリフト券割引サービスの打ち切りを行ったとのこと。
このスキー場に私は行かない。

2007年11月おわり記

今季も期待

たくさんのクロスジフユエダシャク(写真右上)がひらひらと舞っていて、人によって意見は分かれるでしょうけど、私にとってはちょっと幻想的な感じさえする道でした。

2月にはここにオオマシコが来てました。オオマシコ見たさに軽井沢まで行ったことがあるのに、ここは自宅から自転車で10分弱の雑木林だったものですから、これこそ「灯台もと暗し」だと思ったのです。

昨季はオオマシコの当たり年だったようなので普段の冬はこんなことはないのかもしれませんが、今季もちょっとは期待してしまいます。

この日はミヤマホオジロを見ることができました。毎冬なかなか出会えないことがある鳥ですから、ますますここは灯台もと暗しだ!と思いました。
あとアオゲラ、コゲラ、ヒヨドリ、ウグイス、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガ、イカル、ウソ、カモspを確認しました。
空いた時間を見てちょくちょく通うつもりです。

2007年11月おわり記

里にもツグミ

氷点下の朝でしたが、気持ちよく晴れた空なのでジテツーです。体が温まってしまえば寒さはそれほど気になりません。
霜で真っ白になった畑や田圃に自分の影を映しながら、冷たい空気の中をぐんぐん進むのはすばらしく気持ちのいいことで、いつもよりついついハイペース。で、後半はがくんとスピードが落ちました。

枯れ草の中からホオジロの声。道路を横切って飛ぶスズメの群れ。すれ違うムクドリたち。そしてツグミがケケッと鳴きながら飛び立ちました。

2007年11月おわり記

MTB問題

MTBが次々に林道を漕ぎ上がってくるのが眼下に見えました。10名以上のグループです。結構大変そう。降りて押している人もいます。でもその大変さがまた楽しいのですよね、きっと。大きな話し声が風に乗って聞こえてきます。
普段クロスバイクにふらふら乗っていますが、やっぱりMTBもいいなと彼らを見て思いました。伊那谷暮らしの時はMTBに乗っていたし。

でも現状を鑑みて問題となるのは遊ぶ時間の不足。自由になる休日も限られているのに、鳥を見て山を登ってポタリングして、これでも足りてないのに山での自転車遊びなんて。
もちろん資金不足(ガソリンも灯油も高いですし)、駐輪スペース不足(家の中には持ち込めないし)、家族からの理解不足(オトーサンばかり遊んでいるとか、自転車もう1台買うの!?とか)も問題です。いや、こちらの方が深刻か。

おーいと手を振ろうとしましたがなんとなくやめて、再び尾根筋を歩き始めました。

2007年11月おわり記

ガンを見に行く

珍しいガンが来ているという話が気になっていたのですが、ずっと放りっぱなしだった昨日今日この頃。

雨模様の日、もう日が傾く頃になってから出かけてみたのですが、もう抜けてしまったのかそれとも眼力不足なのか、見つけることができません。

普段は人が多いことは好きでないので大変勝手な物言いですが、こういうときは他に誰もいないのがとても残念でした。

天気が悪いこともあってどんどん暗くなり、スコープでも色や模様がわかりにくくなった頃に数百羽と思われるガンが帰ってきました。
声が聞こえたときは本当にぞくぞくしました。空を覆うように飛んできたその姿にただただ圧倒されるばかり。

もちろん落雁の中から珍ガンを探し出すことなどできるはずはありませんでしたが、それはどうでもよくなっていました。
そんな訳でちょっとがっかりはしましたが、ガンたちの声が頭の中に響いたままの帰り道でした。

2007年11月なかごろ記

スキー場登山(スキー登山ではなくてね)

ルートはスキー場のスロープの中にのびていました。
こういうところを歩くのは何とも味気ないものです。

それでもシロハラやツグミの姿を風景の中に見つけながら高度を稼いでいきました。

ここを滑ったときにはそれほど急には思わなかったのすが、けっこう手応えのある登りです。

晩秋の2000m級なので用心して薄手のフリースを着てきたのですが、ここで汗をかいてしまいました。立ち止まると冷たい風にあっという間に体が冷やされてしまい、服装の調節が難しい。
道がスキー場を外れ、風の当たらない場所に回り込むとほっとしました。ここでおやつにしました(カスタードクリームのパン)。山頂まではもうひと登り。

2007年11月なかごろ記

死滅回遊魚

息子とあぜ道の散歩をしました。右下のぼろぼろのベニシジミは息子の撮影です。

私が何気なく撮ったシジミチョウはウラナミシジミでした。自宅周辺では初めて見ましたが、図鑑を見れば普通種です。昨年までは気付かなかった…というより名前も知りませんでした。
長野では越冬できないのに北上してくるといいます。何が彼らを北に向かわせるのか。

「死滅回遊魚」という言葉を知ったとき、客観的ではあるけれど悲運なイメージをうまく表した言葉だと思いました。名言です(名言とは言わないか)。
ウラナミシジミは死滅回遊蝶とも言えそうですが、成虫で冬を越せない昆虫は他にも多いせいか、魚と違ってこういう言葉は似合わないですね。

鳥関係では「旅鳥」って言葉が好きです。こっちはあまり客観的じゃない感じですけど。

2007年11月はじめ記

よそ見注意

今日歩くルートを詳しく報告しておこうと、カミ様に携帯メールを打ちながら林道を歩いていました。メールの送信が終わると、ちょうど目の前に踏み跡がカラマツ林の中に伸びていました。

「あ、ここか」と足を踏み入れたのですが、途中からルートは急に不明瞭になりました。
変だなあと感じながらも「ここだ」と思いこんでしまっていたので、笹藪の中をさらに進んでしまいました。かすかに踏まれたような跡がわずか続いたのですが、ササの背丈が高くなり進むのが難しくなりました。

「引き返そう。」

ササに降り積もったカラマツの葉に全身まみれて戻り、さらに林道を数十メートル戻れば、はっきりした踏み跡をなんなく見つけることができました。
ここまで所要時間15分。ばかだったなあと反省しながら、あとはのんびりと里山歩き。

◇教訓
・登山計画をきちんと立ててから出かけましょう。
・登山中もよそ見に注意しましょう。
・里山の核心部は登山口にたどり着くまでと心得ましょう。

2007年11月はじめ記

長野市街地にてのスナップ

信号にとまっているハシボソガラス(ですよね?)の向こうを飛んでいるのは、入蒔前のムクドリです。

2007年11月はじめ記

マミチャジナイの森

旅鳥と冬鳥が見たくて戸隠へ。

私に与えられた時間は1時間ほどしかなく、一番のお目当てに出会うにはあまりにも時間不足でしたが、歩く先々で、表題の彼らが姿を見せてくれて、楽しい時間を過ごすことができました。

むさぼり食っているマミチャ、じっと枝にとまって動かないマミチャ、大騒ぎをしながら追いかけっこをしているマミチャ。それぞれの過ごし方のマミチャジナイたちでした。たくさん食べてしっかり休んで、体力つけてこれからの長旅頑張ってください。影ながら応援しています。

あとはツグミ初認。カシラダカ、ルリビタキなど。

池にはキンクロハジロが入っていました。
空から見れば小さな小さな水面でしょうに、しっかりと見つけるのはさすが鳥の眼力。それとも旅の知恵として代々受け継がれているものなんでしょうか。

紅葉はもう終わり。手前の飯綱高原が今は見頃です。

2007年11月はじめ記

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