過去の野外手帳 -2005年11月

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◆コクガンクビキン
ライフリストを増やそうという気持ちは捨てたはずなのですが、知っている場所に「コクガンがいるよ」と聞けばやっぱり見たい鳥屋の私です。寒冷前線を突き抜けて北上。

2時前に現地着、雷鳴響く中コクガンを見ることができました。シックな色合いが実に美しく、感動しながらスコープをのぞいていました。
ヒシクイやミコアイサ、カンムリハジロ各カイツブリ、カモカモ各種、ミサゴに浮気をしているうちに見失ってしまいましたが、ライファーをばっちりじっくり見ることができたので、大満足でした。(LAPUTAさん、ありがとうございました)。
ふと見ると、近くでnagayaさんがシャッターを切っていました。世間は狭いです。今日は落雁狙いとのこと。

他にも何人か鳥見をしている方がいたのですが、皆さんの狙いはコクガンではなく、「クビワキンクロ(雌)」だというのです。有名な不忍池のクビキンを見に行ったことがない私にとっては、もちろん未知の鳥。

「どこ、どこ、どこですかっ!」と大騒ぎしながら、居合わせた方にスコープをのぞかせていただいたり、「そっちじゃないよ、あっちだよ」と場所を指示していただいたりしました(ありがとうございました)。
もちろん、教えてもらわなければ絶対わかりませんでした。ひっくり返ってのお腹の羽繕いなど、愛嬌ある姿をたっぷり楽めました。
遠く遠くのオオタカが食事をしているシーンも教えていただいて見ることができ、お腹いっぱいで帰宅しました。
2005年11月おわり記


◆森歩きの日
歩き始めてすぐに、途中で引き返すことを決めました。
動物たちの足跡に誘われるように白い森に足を踏み入れましたが、予定していたピークを目指すには心構えも、知識も、装備も、時間も十分ではありませんでした。

妻に計画変更のメール。1時間半ほど歩き、傾斜が強まる手前で引き返しました。

一度ヒガラの群れに会っただけの、静かな静かな森でした。
2005年11月おわり記



◆クマの幻影
登山口へ向かう途中、雑木林の中を散策していた親子連れが転がるように走ってきました。子どもは走る途中で転んだらしく、泣きべそをかいています。そして、「クマがいた!」とそのお父さんが言うのです。
なんとなくですが、カモシカをクマと勘違いしたのだろうと思いました(根拠なし)。妻は今日のハイキングは中止するべきだと言わんばかりの表情ですが、何にしてもこの山にクマはいるでしょう。

クマが出たという場所とは別の尾根を登ります。鈴を鳴らし大声で喋りながら用心して登ることにしました。見通しのきかない場所ではホイッスルも吹いてみます。
1時間半ほどで無事山頂に着きました。
光る千曲川、白い頸城の山、冷たい風、柔らかい日射し、ラーメンの熱いスープを楽しんで下山開始です。

10分ほどぐんぐん下ったところで、谷から物音がしました。親子連れの話していた「クマ」という言葉が頭をよぎりました。天災とクマは忘れた頃にやってくる?!…思わず身を低くして構えます。
どどどどーと駆けてきたのはニホンカモシカでした。
ほっとしたのも束の間、こちらに真っ直ぐ向かってきます。まずいなと思った瞬間、カモシカもこちらに気付いたようでした。ぱっと反転し、びゃーと鳴きながら谷を下っていきました。
妻と息子にとって、野生のカモシカは初めてでした。

「カモシカはなんであんなにあわてて走ってきたんだろうね」
「何かに追われていたのかな」
「何かって」
「クマかな」
「やっぱりクマか」
2005年11月おわり記


◆白い頂上
頂上は一面落ちた霧氷で覆われていました。もっと早く登れば、素晴らしい風景に出会えたのにと、相変わらずの自分の朝の弱さを恨めしく思いました。

でも、まだ太陽の当たらない斜面の枝には霧氷がついていました。ザクザク氷を踏んで、斜面を少し下り、白い枝先を見上げました。

弱々しい太陽光線ですが、霧氷にとっては死の光。カメラを構えている間にも、光を浴びた霧氷の落ちる音が、あちこちから聞こえてきました。

カメラが冷え切って、あっという間にバッテリー警告が出てしまいました。電池がだいぶへたってきているせいもあるのですが、液晶オンでは10枚も撮れず。
2005年11月おわり記


◆里山ナビ
車を替えたのを契機に、ようやくナビをつけました。比較的安い機種ですが(でも高い…)、機能は十分です。

登山口をピンポイントで設定できるのがとても便利です。
里山では登山口にたどり着くのが難しいケースが多いのですが、目的地をセットしてしまえば細かな分岐も大丈夫。このカーブを曲がったところが登山口だと地図上では分かっていても、通り過ぎてしまう失敗が多かったのですが、そんなことも減りました。

この日も、1:25000の地図とガイドブックで見当をつけてナビにセット。峠越えの細い県道をたどりました。
ところが、トンネルに入ったところでナビが「目的地です」とアナウンス。一瞬混乱してしまいました。道路が付け替えられて、登山口の真下をトンネルで通過していたのです。

旧道の入口を捜し当て、ようやく本来の目的地に到着。路肩に車を寄せると、細い踏み跡が森の中へ伸びていました。
2005年11月おわり記


◆午後
マヒワが忙しく飛び回り、ツグミたちが元気な晩秋の山。太陽が雲に隠れると、体感温度が急に下がります。
雑木林の中に伸びる自分の影の長さに、少し足を早めた午後でした。
2005年11月なかごろ記


◆ルリビタキを拾う
去年の今頃、ルリビタキの落鳥について書いたことを思い出しました。今秋も、残念な形でルリビタキと出会うことになってしました。

まだ青くなりきらないオス。先ほどこの場所を通ったときには見かけなかったので、まだ衝突したばかりのようでした。
時間を見つけて、ささっとスケッチ。そのわずかな間にも、虚ろに見開かれた眼が輝きを失っていくのが分かりました。
2005年11月なかごろ記


◆この音が聞こえますか
カラマツの葉が降り注ぐ美しい音の中を歩いてきました。
2005年11月なかごろ記


◆畦道の周辺
「パンパース・じぶんでパンツ・big」(家に来ている姪っ子用)を買ってきて-と言われて、ぶらぶら出かけました。すぐ近くのドラッグストアにはその「じぶんでパンツ・big」がなかったので、違う店まで行きました。
多少離れてはいますが、田んぼの中を突っ切れば大した距離ではありません。
幸い月が明るく、火星も赤く光っています。問題なく歩けました。

もう一軒の店では無事「じぶんでパンツ・big」を発見し、来た道を戻りました。
月明かりってのも大したものだなあ、昔の人はこの明かりで歩いていたのだし、などと思いながら少しうきうきして歩いていたのですが、途中で間違いに気付きました。

影が2つ出来ていたのです。畦道を照らしていたのは月明かりだけではありませんでした。
月明かりの影は正面に短く、そして数百メートル離れた大きな通り周辺からの光で出来た影は、斜めに長く伸びていました。
庭から天の川を見上げたあの頃にはもう戻れないのだと、改めて思いました。
2005年11月なかごろ記


◆迷い道
1ヶ月ぶりの山です。

西尾根から登ってきたのですが、帰りは北。山頂北面に広がる森が見たかったのです。人の少ないルートなので、この感動も独り占め。左画像で少し雰囲気が伝わるでしょうか。

周遊ルートをぐんぐん下って午後3時半。あともう少しで西尾根の末端に置いた車に戻る頃…と思っていたのですが、影を見て様子がおかしいことに気付きました。
いつの間にか、傾いた太陽を背にして歩いていました。南へ向かうはずの踏み跡が東へ続いています。

この道は昨シーズンも歩いたのですが、途中フォークのように3つに分岐する場所があり、判断に迷ったのです。
その時は真ん中を選びました。
あとで分かったのですが、地形図にのっている正規ルートは右。作業道に引き込まれてしまった訳ですが、ぴったり駐車場所に出て結果オーライでした。

今回は家でその時の山行メモを見返して、同じルートで戻ろうと確認までしてきたのに、気付かないまま分岐を左に進んでしまったらしいのです。

戻ろうと思いましたが、意外にしっかりとした踏み跡が続いています。南には、今日登った西尾根が見えています。大きな上り下りがなければ、等高線に沿って小さな沢を回り込み、あの尾根に向かうはず。30分だけ歩いてみようと決めました。

どきどきしながら辿った踏み跡はやがて南を向き、丸木橋で沢を渡り、さらに尾根に行き当たって北斜面をトラバース。間もなく、昼前に歩いた登山道にぴょこんと飛び出しました。分岐していくこの踏み跡は、どこに続いているんだろうと思っていた場所でした。

うれしいやら、ほっとするやら、一枚自分の影に向かってシャッターを押しました。夕日に透ける葉の美しさに、カメラを向ける余裕がやっと出ました。
2005年11月はじめ記


◆11月の朝
ジョウビタキの声で目覚めた朝でした(正直に書くと、「目が覚めたらジョウビタキが鳴いていました」です)。
2005年11月はじめ記


◆まだまだキノコカメラマン
目一杯遊んだ後はクールダウン。広場の脇にわずかに残されている木々の間を歩いてみました。
色づいた梢を仰ぐのはとても素敵なことです。外から眺める紅葉よりも、森の中から見上げる方が私は好きです。

「キノコカメラマン!キノコだよ」と息子に呼ばれ、いそいそとキノコの写真を撮りました。キノコカメラマンの息子もキノコが気になるようです。

幹にびっしりのこのキノコは見事でした。
2005年11月はじめ記

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