自由研究
赤字
先月クロジの声を聞いていてふと思ったんですけど、「クロジって鳥はいてもアカジって鳥はいないんですよ-」と説明したことのある人、結構いるんじゃないでしょうか。ちなみに、私はしたことあります。
今回はその説明はよくなかった!と反省し、今後に生かしていこうという内容なのでよろしくお願いします。
クロジって「黒字」じゃない。収入が支出を上回ることじゃない。クロは「黒」だろうけど、ジは「字」じゃない。ちなみにアオジって鳥がいますし、シマアオジ、キアオジって鳥もいます。
「ジ」って何?
自?地?餌?時?路?児?示?次?寺?耳?辞?慈?事?持?痔?磁?治?
こういうときに頼りになるのは『図説・鳥名の由来辞典』(菅原浩・柿澤亮三編著・柏書房)です(今回の参考・引用文献です)。
調べてみました。
「ジ」ってのはホオジロやアオジ、クロジの仲間の古名、「しとと」の名残なんだそうです。奈良時代からある古い呼び名だそうですが、語源ははっきりしないとのこと。「しとと」は、現在の和名ではミヤマシトド、サバンナシトドなどに残っていますが、アオジは「あをじとと」、クロジは「くろじとと」だったわけです。
なので、アカジという鳥が仮にいたら、それは「あかじとと」で、赤い色のホオジロ類ということになります。感じとすれば上のシマノジコなんてぴったりです。
ちなみにノジコは「野地」「野路」でよく見られる小鳥という意味だそうです。「シマ」は島に産する種や変わった種類につける接頭語ということ。
シマアジは変わったあぢ(コガモの古名)。シマムクドリはコムクドリのこと。ほか、シマエナガ、シマゴマ、シマアカモズなどを思い出せば納得です。
いずれにしても、下のようなイラストは全くの見当違いです。「クロジはいるけどアカジはいない」と説明されると、こんな鳥が頭の中に浮かびかねないので、これからはそういう説明をやめようと思う次第です。
2007年9月はじめ記