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本家クレーン車とヨーロッパ言語に関わる考察

「クレーン車」(まずこちらをご覧下さいね)で、イラストのモデルに「アメリカ」シロヅルを使ったことがそもそもの始まりでした。

よたろうさんから「“crane”は英語なんだから、アメリカじゃなくてイギリス的にツルはどうなのよ?」というような問いかけ(かなり改変してますが)を受けました。

調べてみると、単に“crane”というとクロヅルを指すらしいことが判明しました。そうするとモデルにはアメリカシロヅルよりクロヅルを用いるのが正しいです。

そんなわけで正統派クレーン車を描いてみました。

クロヅルクレーン

ところが、手持ちの図鑑によるとクロヅルはイギリスには生息していないようです。それどころか、イギリスには他のツルもいないらしい。
じゃあ、なぜクレーン(起重機)はクレーン(ツル)なのでしょうか。

よたろうさんがBBSに
「英語でcraneはオランダ語ではkraan、これは日本語の『カラン(蛇口)』になってるとか。両者の音の近似を考えると、やはりcraneはヨーロッパの他言語の音から英語化されたものと考えるのが妥当なようですね。」
と書き込んで下さったので、私もその他のヨーロッパ言語に挑戦してみました。

ドイツクレーン

ドイツ語でツルは“Kranich”。起重機は“kran”。

フランスクレーン

フランス語でツルは“grue”。起重機も“grue”で全く同じ。

スペインクレーン

スペイン語でツルは“grulla”。起重機は“grua”(本当は文字が違いますけど)。

イタリアクレーン

イタリア語では“gru”。起重機も“gru”で同じです。

もっと調べてみればいいんですが、面倒になってやめてしまいました。
でも、オランダ語を含めたこれら5つの言語を見るだけでも、ヨーロッパでは起重機はツルの連想から命名され、英語の“crane”はこうしたヨーロッパ言語の影響を受けた結果と言えそうです。

クロヅルはユーラシア大陸に広く分布しているので、ロシア語についても調べてみました。

ロシアクレーン

ツルは“журавль”(クロヅルは“журавль серый”)。
そして起重機のクレーンは“подъемный кран”でした。
кран はクレン(クランかな?)と読めますので(学生の時第二外国語はなぜかロシア語でした^^;)、ロシア語のクレーン(起重機)は外来語っぽいです。
ちなみに、подъемный は英訳すると“Elevating”(昇降)になるらしいです。

ツルのロシア語訳は「鳥類ロシア語辞典」、起重機のロシア語訳などはhttp://www.freetranslation.com/を参考にさせてもらいました。

最初にツルと起重機を結びつけたのは、どうやらロシア語ではないことはわかりましたが、じゃあ一体どこの言葉なんでしょう。

起重機の発明って感じで検索をかけてみたら、紀元前250年にアルキメデスが考案とか、レオナルド・ダ・ビンチがスケッチに残していたとかの記述をwebに見つけましたが、よくわかりません。
アルキメデスの頃から起重機がツルに見えていたのなら、ギリシア語起源、レオナルド・ダ・ビンチによって現代のクレーンが完成したのならイタリア語がスタートなのかも。

ここをご覧になっている方で、ツルとクレーンの関係について何か知っておられることや情報がありましたら、BBSで教えて下さいませ。

2006年11月なかごろ記

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